古い工場やビルの配管、あるいはご自宅の屋根裏などで、白くモコモコとした素材や、円筒状に巻かれた建材を見かけたことはありませんか?それらは「保温材」や「断熱材」と呼ばれるものですが、設置年代によっては発がん性物質であるアスベスト(石綿)が含まれている可能性が非常に高いです。
アスベスト含有の保温材・断熱材は、建材の中でも特に飛散しやすく、解体や改修時に適切な対応を怠ると、深刻な健康被害や厳しい法的罰則を招く恐れがあります。
今回の記事では、アスベストを含む保温材・断熱材の使用箇所や種類、健康リスク、そして有資格者による調査の重要性について、専門的な視点からわかりやすく解説します。
アスベスト含有の保温材・断熱材とは?なぜ使われたのか

アスベストは「耐熱性」「断熱性」「耐火性」に優れた天然の鉱物繊維です。この特性を活かし、高度経済成長期から2000年代初頭にかけて、熱を逃がさないための「保温材」や、外気温を遮断するための「断熱材」として日本中で大量に使用されました。
保温材と断熱材の違い
保温材(主に配管や設備に使用)
ボイラーや配管内の熱を一定に保ち、エネルギー効率を高めるために巻かれる素材です。
断熱材(主に建築物に使用)
壁の中や天井裏に配置され、建物の冷暖房効率を高めたり、火災時の熱から鉄骨を守ったりする素材です。
これらは工業施設(化学プラント、発電所)から、公共施設(学校、病院)、一般の住宅まで、目に見えない「天井裏」や「パイプスペース」の至る所に潜んでいます。
アスベスト保温材・断熱材の使用箇所と代表的な種類

アスベストが含まれている可能性がある建材は多岐にわたります。特に注意すべき代表的な例を挙げます。
工業設備・配管周り
石綿保温材
配管に円筒状に巻き付けられているもの。
けい酸カルシウム保温材(第1種)
白い石膏のような硬い板状や筒状の素材。
カストパッキン・ガスケット
配管の接続部(フランジ)などに使われるシール材。
建築物(内装・外装)
吹付け石綿(レベル1)
鉄骨の梁や柱、天井に直接吹き付けられた綿のような素材。
石綿含有耐火被覆板
柱などに貼り付けられた耐火ボード。
屋根裏・壁の断熱材
昭和50年代以前の建物では、断熱材そのものや、それを固定する接着剤にアスベストが含まれていることがあります。
アスベスト保温材・断熱材の健康リスクと「レベル分類」

アスベストの危険性は、その繊維の「飛散しやすさ」によって3段階のレベルに分けられています。保温材と断熱材は、その多くが「レベル2」または「レベル1」に該当し、非常に危険視されています。
なぜ保温材・断熱材は危険なのか?
これらの建材は、セメントなどでガチガチに固められた成形板(レベル3)とは異なり、素材が柔らかく、密度が低いため、少しの衝撃や劣化で繊維が空気中に大量に舞い上がります。
吸引による深刻な疾患
吸い込まれた微細なアスベスト繊維は、数十年(10年〜50年)という長い潜伏期間を経て、以下の病気を引き起こします。
悪性中皮腫
肺を覆う膜などにできるがんで、アスベストとの関連が極めて強い。
肺がん
喫煙との相乗効果でリスクが激増します。
石綿肺
肺が繊維化して硬くなり、呼吸が困難になる病気。
外観では判断不可能!有資格者による「事前調査」の義務

最も重要な事実は、「アスベストが入っているかどうかは、プロの目で見ても外観だけでは100%判断できない」ということです。
2022年からの法改正による義務化
現在、一定規模以上の解体・改修工事を行う際は、以下の対応が法律で義務付けられています。
有資格者による調査
「建築物石綿含有建材調査者」などの資格を持つ者が調査を行うこと。
電子報告
調査結果を労働基準監督署や自治体にオンラインで報告すること。
分析調査
図面や目視で判断できない場合、専門機関でサンプルを分析すること。
「多分大丈夫だろう」という自己判断で配管を壊したり、壁を剥がしたりする行為は、作業者や周辺住民を危険にさらすだけでなく、懲役や罰金などの厳しい刑事罰の対象となります。
アスベスト保温材・断熱材の安全な除去ステップ
もし調査でアスベストが確認された場合、以下のような厳重な対策の下で除去が行われます。
ステップ1:適切な保護具
作業員は専用の防護服と高性能な防じんマスクを着用します。
ステップ2:作業場の隔離
ビニールシート等で現場を密閉し、負圧除塵装置で空気を管理します。
ステップ3:湿潤化
散水や薬液の散布により、粉じんが舞わないよう建材を濡らします。
ステップ4:特別管理産業廃棄物としての処分
二重の袋に密閉し、認可された処分場で埋め立てられます。
アスベストの調査・分析は「オルビー環境」へ

建物の天井裏や機械室に眠る保温材・断熱材のアスベストリスクを解消するには、科学的根拠に基づいた「確定診断」が唯一の解決策です。「アスベストがあるかもしれない」という曖昧な不安を抱えたまま工事を進めることは、法的にも健康的にも最大のリスクとなります。
アスベスト分析のプロフェッショナルであるオルビー環境は、関西(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)を拠点に、日本全国の建設現場、工場、住宅のアスベスト調査・分析をサポートしています。
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