アスベストと密接に関わる業界と言えば「建設業界」をイメージされる方が多いですが、実は「塗装業界」もアスベストに注意が必要な業界です。
特に古い建築物の外壁で使われている「仕上塗材」にはアスベストが使用された可能性があり、場合によっては分析調査が必要となります。しかし、仕上塗材は複数の層をなしており、どの層にアスベストが使われているかを明確にしなければ、適切に対処できません。
そこで今回の記事では、仕上塗材に有効な「層別分析」についてわかりやすく解説します。
塗装業界のアスベストを理解するための3つのポイント
建築業界に特化した切り口でアスベストの解説をしている情報は数多くありますが、塗装業界ならではの切り口で解説されることはあまりありません。
そこでまずは塗装業界に密接に関わる視点から、アスベストを理解するためのポイントを3つ解説します。
ポイント1:レベル3の成形板やスレート屋根材も事前調査報告が義務化
2022年7月に大気汚染防止法や石綿障害予防規則が改正され、一定規模以上の工事におけるアスベストの事前調査報告が義務化されました。
従来はレベル1(吹付け材)、レベル2(保温材、耐火材など)の除去工事において、除去する工法ごとに定められた作業基準を遵守する必要がありましたが、2022年の法改正に伴い、塗装業界とも関わりのあるレベル3の成形板も規制対象に加わりました。
塗装作業をする上で、レベル1(吹付け材)やレベル2(保温材、耐火材など)に触れる機会は少ないですが、レベル3の成形板に触れる機会は多いため、十分に注意しましょう。
ポイント2:既存の塗装の上から新たに塗装する場合は事前調査が不要
塗装業界におけるアスベスト使用の可能性が高い建材として「仕上塗材」が有名ですが、既存の塗装の上から新たに塗装する場合は、アスベストの事前調査が必要な改修工事には該当しません。
つまり、アスベストの事前調査なしに、新たな塗装が可能です。
ポイント3:仕上塗材のクラックの補修で建材を削る場合は事前調査が必要
しかし、同じく仕上塗材に関する補修工事であっても、土台となる成形板や表面の仕上塗材を少しでも削ったり、穴を開けたりする場合は、アスベストの事前調査や分析が必要になります。
高圧洗浄機で表面の塗装を削る作業も同様に、アスベストの事前調査や分析を行わなければなりません。
怠った場合には罰則対象になるため、十分に注意しましょう。
外壁の仕上塗剤のアスベスト調査で行われる「層別分析」とは?
「層別分析」とは、外壁の表面にある仕上塗材から下地調整塗材までの固まりを1つの検体として分析調査を行い、具体的にどの層にアスベスト使用の有無があるかを調査する分析手法です。
層別分析を行わない場合は、具体的にどの層にアスベストが使用されているかが明確にならないため、全てにアスベストが含まれているものとして扱わなければならず、除去作業や処理における手間と費用が増えてしまいます。
アスベストが含まれている箇所だけをピンポイントに除去・処理するために、仕上塗材を分析する際には「層別分析」を実施することが基本となっています。
アスベスト使用の仕上塗材を「層別分析」に出す際の3つの注意点
仕上塗材の層別分析を行う際には、仕上塗材から下地調整塗材までの固まりを1つの検体として分析サンプルを採取する必要がありますが、この通りにサンプル採取ができないと、正しく分析ができません。
そこでここからは、仕上塗材を層別分析に出す際の3つの注意点をより具体的に解説します。
注意点1:固まりではないサンプルでは分析不可
層別分析を行うためには、仕上塗材から下地調整塗材までを1つの固まりとして取り出す必要があります。そのため、たとえその全てを採取していても、形状が固まりではなく粉状になっていては、どの粉がどの層だったのかを判断できず、層別分析としての分析調査は実施できません。
また、粉状ではないにしても、下地が一部剥がれていたり、層のそれぞれが剥がれたりしていても、1つの固まりとは認められません。
層別分析を依頼する際には、分析対象となる全ての層を1つの固まりとして採取するようにしましょう。
注意点2:少なすぎるサンプルでは分析不可
分析サンプルが1つの固まりとして採取されていても、その量が少なすぎては層別分析が実施できません。層別分析を行う際には、以下の条件通りにサンプルを採取しましょう。
▶️層別分析に必要なサンプル量の条件
・試料の総面積は5cm×5cm程度
・一欠片のサイズが2㎠以上
・下地まで深く削り、下地が均一に付着している状態
注意点3:剥離剤や溶剤等で溶かされたサンプルは分析不可
仕上塗材の除去作業を行う際には、剥離剤や溶剤等を使って溶かすことがあります。しかし、溶かされた仕上塗材は1つの固まりではないため、層別分析は実施できません。
層別分析を依頼する際には、工具を使って削り取る方法でサンプルを採取しましょう。
アスベストの分析サンプル採取は有資格者しか実施できない
今回は層別分析を依頼する際の注意点を解説しましたが、2023年10月からはアスベストの事前調査や分析サンプルを採取ができるのは「石綿含有建材調査者」や「アスベスト診断士」などの有資格者に限られています。
自社に有資格者がいない場合は、資格を別途取得するか、有資格者が在籍している「オルビー環境」のようなアスベスト分析会社に依頼しなければなりません。
資格がないにもかかわらず分析サンプルを採取してしまうと罰則対象にもなり得ます。十分に注意しましょう。
アスベスト分析を早く安く実施するなら「オルビー環境」へ
塗装業界にも密接に関わるアスベスト問題ですが、面倒な業務は専門業者に任せて、自社の強みを発揮できる業務だけに集中したいと考えている方も多いのではないでしょうか?
オルビー環境では、アスベストのサンプル採取から分析調査、行政への報告サポート、適正処理に至るまでの全てをワンストップでサポートしています。
対応エリアも、関西全土(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)を中心に、日本全国からのアスベスト分析に対応しています。
アスベストに関わる面倒な業務は、全てオルビー環境にお任せください。