建設・建築や産業廃棄物に関わる業務を行う方であれば、いつかは「アスベスト」に関わる業務を一度は担当することになるでしょう。
特に建物を解体したり、廃棄したりする際に、建物の年式や構造上の見た目から判断して、アスベストの使用が疑わしい場合には、事前に「分析」を行う必要があります。
しかし、アスベストの分析方法にはいくつか種類があり、専門業者に依頼する前に分析内容をしっかりと把握しておくことが望ましいです。
そこで今回は、アスベストの分析について、わかりやすく解説します。
アスベスト(石綿)とは?
アスベストとは、別名で石綿(せきめん、いしわた)とも言われ、電気絶縁性・耐火性・断熱性にも優れる優秀な建築素材として、高度経済成長期に使われていました。
しかし、1970年代ごろから人体への影響が明らかになり、今では新たな使用が禁止され、すでに使われている建築物を解体・廃棄する際には、事前に分析を行い、適切に処理することが求められています。
アスベスト(石綿)の分析は主に「2種類」
アスベストを分析する方法は、主に2種類に分かれます。
種類1:定量分析
定量分析は、アスベストの含有が疑われている検体の中に、どれくらいの「割合」のアスベストが含まれているかを調べる分析手法です。
種類2:定性分析
定性分析は、検体の中のアスベスト含有の「有無」を調べる分析手法です。
アスベスト含有が疑われている建物を解体・廃棄する際に、アスベスト分析を行うことが多いですが、廃棄物処理法では、アスベストの「割合」ではなく「有無」が重要視されています。
そのため、アスベスト分析の中でも、定性分析がより一般的な分析手法です。
アスベスト(石綿)分析の「3つの方法」
アスベスト分析には、いくつかの手法がありますが、ここでは2014年に厚生労働省が定めた「3つの分析方法」をご紹介します。
方法1:JIS A 1481-1(定性分析)
JIS A 1481-1は、定性分析の一種で、偏光顕微鏡法を使ってアスベストの有無を分析します。
方法2:JIS A 1481-2(定性分析)
JIS A 1481-2も、定性分析の一種で、顕微鏡とX線回析装置を使ってアスベストの有無を分析します。
方法3:JIS A 1481-3(定量分析)
JIS A 1481-3は、定量分析の手法で、X線回折装置を使って、アスベストの含有率を分析します。
主に使われる「JIS A 1481-1」と「JIS A 1481-2」を徹底比較
主に使われる定量分析の手法は1種類だから良いけど、定性分析は2種類あるから、どちらを使うべきなの?と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
建設現場や産業廃棄物処理の現場では、アスベストの有無を調べる「定性分析」を実施することが一般的です。
そこで、定性分析の2種類「JIS A 1481-1」「JIS A 1481-2」を比較しながら、それぞれの特徴を解説します。
比較1:JIS A 1481-1のメリット・デメリット
偏光顕微鏡法を使ってアスベストの有無を分析する「JIS A 1481-1」は、短時間で検査ができ、コストも比較的低いことがメリットです。
機械ではなく、人の目で判断するため、分析官の熟練度が求められるというデメリットもあります。
比較2:JIS A 1481-2のメリット・デメリット
一方で「JIS A 1481-2」は、顕微鏡とX線回析装置を使ってアスベストの有無を分析するので、分析官の熟練度に左右されない結果を算出できるメリットがあります。
ただし、JIS A 1481-1よりもコストも時間もかかるデメリットがあります。
アスベスト分析の依頼が発生する際には、工事を止めないためにも、少しでも早く分析結果を出すことが求められるので、多くの場合「JIS A 1481-1」の手法で分析されることが一般的です。
今後、アスベスト分析を依頼する方は、以下の関連記事も合わせてご覧ください。
アスベスト分析を依頼するならどこ?〜関西(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)編〜
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