ビニル床タイル(Pタイル)にはアスベストが含まれているかも!?
ビニル床タイル、通称Pタイルは、耐久性が高く汚れにくい素材として、オフィスや住宅で広く使用されてきた建材ですが、その中にアスベストが含まれている可能性があることをご存知でしょうか。
大気汚染防止法により、アスベスト含有が疑われる建材が使われている建築物を解体・改修する際には、有資格者による事前調査をする必要があります。知らずに処理してしまうと、法令違反になるため大変危険です。
そこで今回の記事では、ビニル床タイルについての基本情報やアスベスト含有が疑われるビニル床タイルを処理する際の注意点について、わかりやすく解説します。
ビニル床タイル(Pタイル)とは?
ビニル床タイルは、主に塩化ビニル樹脂を素材にして作られた床材の一種です。
耐久性が非常に高く、耐水性や耐汚れ性にも優れているため、商業施設やオフィス、住宅のキッチン、トイレなど湿気の多い場所に使われています。一般的には300mm角で2〜3mmの厚みの製品が多いです。
ビニル床タイル(Pタイル)にはアスベスト含有の危険性がある
ビニル床タイルの中でも、1960年代から1980年代にかけて製造された製品には、アスベストが含まれている可能性があります。
ビニル床タイル自体にアスベストが使われている可能性だけでなく、ビニル床タイルを設置する際に使われた接着剤にもアスベストが含まれていることもあるので注意が必要です。
ビニル床タイルに似た「コンポジションビニル床タイル」の扱い方
ビニル床タイルに含まれるアスベストの危険性が明らかになったことで、1986年以降にはアスベスト含有のビニル床タイルに代わり、コンポジションビニル床タイルの製造販売が開始されました。
ビニル床タイルとコンポジションビニル床タイルには、見た目や触った感触で区別ができないので、取り扱う際には、アスベスト含有が疑われるビニル床タイルと同等の措置を施すことが環境省により推奨されています。
参考:https://www.env.go.jp/hourei/11/000533.html
ビニル床タイル(Pタイル)はアスベスト「レベル3」に分類
アスベストを含む廃棄物は、飛散性の高さにより「飛散性アスベスト廃棄物(レベル1・2)」と「非飛散性アスベスト廃棄物(レベル3)」に分類されています。
ビニル床タイルは、非飛散性アスベスト廃棄物(レベル3)に分類されます。
飛散性が低いとはいえ、アスベストを含むビニル床タイルが割れたりかけたりすると、多少のアスベストが飛散する危険性はあるため、取り扱う際には十分に注意しましょう。
アスベスト含有のビニル床タイルを適正処理する方法5ステップ
アスベスト含有ビニル床タイルの処理手順を5つのステップで解説します。
ステップ1:事前調査
ビニル床タイルが使われている建築物の解体・改修を行う際には、アスベスト含有の有無を事前に調査する必要があります。対象となる建材の製造年や過去のリニューアル履歴を確認し、書面の情報だけでは判断できない場合には、専門の検査機関に分析を依頼しなければいけません。
ステップ2:作業エリアの封鎖と養生
アスベスト含有のビニル床タイルを取り扱う際には、アスベスト繊維の飛散を防ぐため、作業エリアを完全に封鎖する必要があります。養生シートやビニールシートを使い、作業エリアを密閉し、他のエリアへの飛散を防ぎます。作業者は、防護服や専用の防塵マスクを着用し、万全の安全対策を行います。
ステップ3:除去
アスベストを除去する際に、タイルが割れたり破損したりすると、アスベスト繊維が飛散しやすくなります。除去部分に水を噴霧しながら湿らせて飛散を抑え、ゆっくりとタイルを剥がします。
ステップ4:二重梱包
除去したビニル床タイルやその破片は、専用の密閉袋に梱包し、その上からさらにもう一層袋をかぶせることで、飛散を防ぎます。その後、許可を得た業者に収集運搬と処理を委託します。
ステップ5:清掃
作業が完了した後は、除去したエリアを徹底的に清掃し、アスベスト繊維の残留がないか確認します。
空気中のアスベスト濃度を測定し、適切な濃度に戻っていることを確認した上で、作業エリアの封鎖を解除します。
使用した防護具や道具も同様に安全に廃棄し、環境にアスベストが残らないようにします。
リニューアル工事には特に注意が必要
建築物のリニューアル工事の際に、アスベストが使われたビニル床タイルの上から別の素材の床材が貼り付けられた事例も多々あります。
アスベスト含有のビニル床タイルを過去に除去した履歴がある場合でも、残渣が残っている恐れもあるので、リニューアル工事の有無については慎重に確認しましょう。
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