PCB廃棄物は人体に悪影響を及ぼす「危険なもの」という認識が広まっており、古いトランスやコンデンサを見ただけですぐに「PCBだ!業者に連絡しないと!」と焦ってしまう方が多くいます。
確かに古いトランスやコンデンサを保有している方は、真っ先にPCB含有を疑うべきです。
しかし、PCBの含有・不含有を調べるのは、必ずしも分析調査が必要ないことをご存知ですか?
そこで今回は、トランスやコンデンサ、安定器において、PCBの含有・不含有の見分け方についてわかりやすく解説します。
高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の違いとは?
まず前提知識として、PCB廃棄物は「高濃度PCB廃棄物」と「低濃度PCB廃棄物」の2種類に分類されます。
トランスやコンデンサの中で使われているPCB油のPCB濃度が0.5%(=5,000ppm/kg)を超えるものが「高濃度PCB廃棄物」で、PCB濃度が0.5%(=5,000ppm/kg)以下のものが「低濃度PCB廃棄物」です。
PCB廃棄物の処理期限
PCB廃棄物には明確に処理期限が設けられており、期限を過ぎて保管していると罰則対象になる可能性があります。
高濃度PCB廃棄物の処理期限は「2022年3月31日」とすでに過ぎているため、まだ保管している方は早急にPCB処理の専門家であるオルビー環境にご相談ください。
また、低濃度PCB廃棄物の処理期限は「2027年3月31日」に迫っています。処理期限が近づくと駆け込み需要で処理までに時間がかかってしまったり、処理コストが高騰してしまう恐れもあります。
低濃度PCB廃棄物の処理期限はまだ先だからと油断せず、早めに処理することをおすすめします。
PCB含有・不含有を見分けるには分析調査をするしかない?
PCBの含有・不含有を調査する方法としては「分析調査」をイメージする方が多いですが、実はそれ以外にも調査方法があります。
その方法とは、年式やメーカーが公表している見解から判断する方法です。
今回の記事では、PCB廃棄物として個体数の多い「トランス」「コンデンサ」「安定器」に絞って解説を進めます。
PCB廃棄物を見分ける方法
それでは具体的に、PCBの含有・不含有についての見分け方を種類別に解説していきます。
今回解説するトランス、コンデンサ、安定器ともに、筐体に貼り付けられている銘板から、メーカー名、製造年、型式を見て判断します。万が一、銘板が劣化して読み取れない場合や剥がれてしまっている場合は、分析調査を行うしかありません。
銘板の情報とメーカーが公表している見解を見比べながら、PCB含有・不含有の判断をします。メーカーの見解については、検索エンジンで「メーカー名+PCB」で検索してください。
方法1:トランス(変圧器)
まずトランスは、銘板に書かれている製造年が平成2年(1990年)以前の場合は、PCB含有の有無を調査する必要があります。
さらにトランスは、絶縁油を入れ替えることでメンテナンスできる機種があるため、以下のような点を確認しなければなりません。
・製造時におけるPCBの使用の有無
・絶縁油の入れ替えの有無
製造時にはPCBが使用されていなくても、平成5年(1993年)以前のものは、絶縁油の入れ替えのタイミングでPCB油が混入しているケースが多々報告されているため、分析調査をしないとPCBの含有・不含有を判断できないことが多いです。
PCB不含有が明らかなのは、平成6年(1994年)以降に出荷されたトランスであり、絶縁油の入れ替えメンテナンスが行われていないものです。
各メーカーのPCB判断方法については、以下の関連サイトをご確認ください。
▶️参考サイト:高濃度PCB機器 簡易検索メニュー(一般社団法人 日本電機工業会)
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/pis/pcb/hanbetsuhyo.html#02
方法2:コンデンサ
コンデンサはトランスと違い絶縁油の入れ替えができないので、メーカー出荷時のPCB使用の有無を調べるだけでPCB含有・不含有がわかります。
そのため、コンデンサの場合はメーカーが「分析調査をしてください」と見解を出している場合を除き、分析調査をしなくてもPCB含有・不含有を判断可能です。
国内メーカーが平成2年(1990年)ごろまでに製造したコンデンサは、PCB含有である可能性が高いです。
各メーカーのPCB判断方法については、以下の関連サイトをご確認ください。
▶️参考サイト:高濃度PCB機器 簡易検索メニュー(一般社団法人 日本電機工業会)
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/pis/pcb/hanbetsuhyo.html#02
方法3:照明用安定器
照明用安定器とは、電圧を安定させてちらつきを抑えるための機器です。
この安定器のうち、昭和52年3月以前に建てられた建築物に使われている安定器には、PCBが使用されている可能性があります。
また、昭和32年1月から昭和47年8月までに国内で製造された「蛍光灯器具」「水銀灯器具」「低圧ナトリウム灯器具」についている安定器にもPCB使用が報告されていますので、銘板の情報を元に、PCBの有無を調べなければなりません。
なお、一般家庭用の安定器にはPCBは使われていないため、業務用安定器のみがPCBの調査対象となります。
各メーカーのPCB判断方法については、以下の関連サイトをご確認ください。
▶️関連サイト:PCB使用安定器の判別方法【メーカー確認済み】(熊本県)
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/66568.pdf
トランス、コンデンサ、安定器の劣化には要注意
トランスやコンデンサ、安定器はいずれも金属製であるため、ある程度頑丈な作りになっていますが、PCBが使われている機種は、製造から何十年も経過しており、経年劣化を起こす可能性も十分に考えられます。
万が一、PCB油が筐体から漏れ出た場合は、PCB油が付着したもの全てを「PCB汚染物」として処理しなければなりません。アスファルトに滲み出た場合は、付着箇所をはつる必要もあるので、大きな手間とコストが発生します。
PCB廃棄物を保管している方は、早急に処理することをおすすめします。
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PCB廃棄物を処理するためには、見積書を取り寄せ、予算を確保し、事前に契約書を結び、業者を選んで、、、と多くの手間が発生します。
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