工場の配管、ボイラー、ビルや住宅の古い給湯設備。その接続部分に使用されている「パッキン」や「ガスケット」がアスベスト(石綿)を含んでいるかもしれないと不安に感じていませんか?
かつて「奇跡の鉱物」ともてはやされたアスベストは、その優れた耐熱性と耐圧性から、パッキン材として日本中のインフラを支えてきました。しかし、現在では吸い込むことで深刻な健康被害を引き起こすことが判明し、製造も使用も全面的に禁止されています。
今回の記事では、アスベストを含むパッキンやガスケットの見分け方、健康リスク、そして最も重要な「発見した際の正しい対処法」まで、専門的な視点から詳しく解説します。
アスベストパッキン・ガスケットとは?基礎知識を解説

「パッキン」や「ガスケット」は、配管のフランジ(接続部)やポンプ、バルブなどの接合部に挟み込み、中の液体や気体が漏れるのを防ぐ「シール材」の総称です。
パッキンとガスケットの違い
どちらも漏れを防ぐための「シール材」ですが、一般的には「動く場所(可動部)」に使うか、「固定する場所(固定部)」に使うかで呼び分けられます。
パッキン
ポンプの軸やバルブの回転部、あるいは水道の蛇口など、動く部分の隙間を埋めるために使われることが多い言葉です。紐状の「グランドパッキン」などが代表的です。
ガスケット
配管の接続部分(フランジ)など、動かない部分の間に挟んで固定するシール材を指します。アスベスト含有製品でよく見られる「ジョイントシート」は、主にガスケットに分類されます。
ただし、現場やメーカーによっては両者を厳密に区別せず、総称として「パッキン」と呼ぶことも少なくありません。
パッキンやガスケットにアスベストが重宝された理由
アスベストは極めて細い繊維状の天然鉱物です。耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れ、しかも安価であったため、過酷な環境下で使用される工業用シール材として最適でした。
特に、アスベスト繊維にゴムや充填材を混ぜて板状に固めた「ジョイントシート」は、工場の配管や化学プラント、船舶のエンジン周りなどで大量に消費されました。
現在の規制状況
日本では段階的に規制が強化され、2006年にアスベスト製品の製造・使用が原則禁止されました。一部の代替困難なパッキン類も2012年には完全禁止となっています。
現在問題となっているのは、2012年以前に設置され、メンテナンスされずに残っている古い設備のパッキンです。
アスベストパッキンの健康リスク|吸い込むとどうなる?

アスベストパッキンの危険性は、パッキンそのものがそこにあることではなく、それが劣化・破損して「目に見えないほど微細な繊維」が飛散し、それを吸い込んでしまうことにあります。
潜伏期間を経て発症する深刻な病気
吸い込まれた繊維は肺の組織に刺さり、数十年の潜伏期間を経て以下の病気を引き起こす可能性があります。
悪性中皮腫
肺を覆う胸膜などにできる極めて悪性度の高いがんです。
肺がん
アスベストの物理的刺激ががん化を促進します。喫煙との相乗効果でリスクが飛躍的に高まります。
石綿肺
肺が繊維化して硬くなり、呼吸機能が低下する病気です。
今使用中のアスベストパッキンを使い続けても大丈夫?
パッキンが配管の間にしっかりと固定され、安定している状態(非飛散性アスベスト)であれば、直ちに繊維が舞い上がるリスクは低いとされています。
最も危険なのは、「古くなったから」と安易に自分で剥がしたり、カッターやサンダーで切断したりすることです。破砕した瞬間に大量の繊維が放出され、高濃度のばく露を招くことになります。
アスベストパッキン・ガスケットの見分け方と注意点
専門家でなければ100%の断定は困難ですが、以下の3つのポイントから含有の可能性を推測できます。ただし、確認は「見るだけ」に留め、絶対に触らないでください。
ポイント1:設置年代を確認する
最も大きな判断材料は「設置時期」です。2006年(平成18年)以前に設置された設備、特に1970年代から90年代のものは含有の可能性が極めて高いです。設備のメンテナンス記録や、機器本体の銘板(製造年月日)をチェックしましょう。
ポイント2:見た目の特徴(色と質感)
代表的なアスベストジョイントシートは、「白色」や「灰色」をしています。
・質感: 劣化している場合、断面や端が毛羽立っていたり、繊維がほつれて見えたりします。
・硬さ: 長年の熱でカチカチに硬化している場合や、逆に指で触れるとボロボロと崩れるような状態は要注意です。
ポイント3:メーカーと型番を特定する
図面や仕様書に以下の型番が記載されている場合、アスベスト含有製品の可能性が高いです。
・株式会社バルカー: V#1500、V#1501AC など
・ニチアス株式会社: T#1000、T#1100、T#1995 など
メーカーの公式サイトでは、過去の含有製品リストが公開されていますので、型番が判明すれば確実な情報が得られます。
アスベストパッキンを見つけたら?絶対にやってはいけないこと
「もしかしてアスベストかも?」と思った瞬間に、自分自身の健康を守るために必ず守るべき鉄則があります。
個人での解体・除去は厳禁
最も重要なことは、自分自身でパッキンを剥がしたり、解体したりしないことです。アスベストパッキンの除去は法律によって厳しく制限されており、「石綿作業主任者」という国家資格者の立ち会いと、飛散を防ぐための専門的な措置が義務付けられています。
繊維をまき散らす「NG行動」
以下のような行為は、目に見えない微細なアスベスト繊維を大量に空気中へ放出させるため、極めて危険です。
削る・叩く・剥がす
物理的な衝撃を加えると、固められていたアスベストが粉塵となって周囲に充満します。
家庭用掃除機で吸う
掃除機のフィルターをアスベストの細かな繊維が通り抜け、排気口からさらに室内に拡散させてしまうため、逆効果となります。
正しい対処法は「触らずに専門家を待つ」
もしパッキンがボロボロに崩れているなど劣化がひどい場合は、霧吹きなどで水をかけて湿らせる(湿潤化)ことで、一時的に粉塵の飛散を抑えることができます。
しかし、基本的には「何もしないこと」が最善の安全策です。速やかに専門の調査会社や除去業者へ連絡しましょう。
現在主流の「ノンアスベストパッキン」への交換
アスベストパッキンを除去した後は、安全な代替品である「ノンアスベストパッキン」に交換します。素材によって特性が異なるため、用途に合わせた選定が必要です。
| パッキンの種類 | 主な特徴 | 適した流体 |
| アラミド繊維系 | 汎用性が高く、強度がある | 蒸気、水、油 |
| 炭素繊維系 | 耐熱・耐薬品性に極めて優れる | 高温蒸気、強酸・アルカリ |
| PTFE(フッ素樹脂)系 | 摩擦が少なく、衛生的 | 化学薬品、食品 |
| ゴム系 | 柔軟でシール性が高い | 常温の水、空気 |
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工場の設備や住宅の配管に潜むアスベストへの不安を解消するには、専門家による「確定診断」が不可欠です。「古いから」という理由だけでアスベストと見なしてしまうと、本来不要な高額工事が発生したり、法的トラブルを招いたりする原因となります。
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