太陽光パネルの「屋根貸し」は本当に賢い選択?
「所有している工場や倉庫の屋根が空いているが、太陽光発電を始めるには初期費用が高すぎる」「遊休スペースを活用して、リスクなく収益を上げたい」――。そんな企業や建物のオーナーにとって、有力な選択肢となるのが太陽光発電の「屋根貸し」です。
2025年現在、脱炭素経営への関心が高まる中で、自社で多額の投資をすることなく再生可能エネルギーの普及に貢献できるモデルとして注目されています。しかし、屋根貸しには賃料収入というメリットがある一方で、長期契約に伴う制約や、近年主流となっている「オンサイトPPA」との決定的な違いなど、注意すべき点も多く存在します。
今回の記事では、太陽光発電の屋根貸しの仕組み、オンサイトPPAとの比較、メリット・デメリット、そして気になる賃料相場まで、専門的な視点から網羅的に詳しく解説します。
太陽光発電の「屋根貸し」とは?仕組みを解剖

太陽光発電の屋根貸しとは、その名の通り、建物所有者が「屋根という場所」を太陽光発電事業者に貸し出し、その対価として賃料収入を得るビジネスモデルです。
屋根を貸す側(貸主)は、設備投資やメンテナンスの費用を一切負担しません。発電事業者がパネルの設置から売電手続き、運用後の維持管理まですべてを請け負います。
所有権
設置された太陽光発電設備の所有権は事業者にあります。
電気の流れ
発電した電気は、事業者が全量を電力会社に売電します。
収益の流れ
事業者が売電収入を得て、そこから貸主に対して「屋根のレンタル料」を支払います。
貸主にとっては、これまで何も生み出さなかった屋根スペースが、「リスクゼロの収益源」に変わる点が最大の特徴です。
太陽光発電の「屋根貸し」と「オンサイトPPA」の違い
屋根貸しを検討する際に必ず比較されるのが、近年急速に普及している「オンサイトPPA(電力購入契約)」です。どちらも「初期費用ゼロ」という点では共通していますが、目的と経済効果が大きく異なります。
屋根貸しとオンサイトPPAの比較表
| 比較項目 | 屋根貸し | オンサイトPPA |
| 主な目的 | 屋根を貸して賃料収入を得る | 自社で使う電気料金を削減する |
| 電気の行方 | すべて電力会社へ売電 | 建物の所有者が自ら消費 |
| CO2削減効果 | 事業者に帰属(自社の削減にはならない) | 自社に帰属(脱炭素経営に直結) |
| 初期費用 | 0円 | 0円 |
| 向いている企業 | 収益性を重視、電気使用量が少ない | 電気代を下げたい、脱炭素を推進したい |
【結論】屋根貸しとオンサイトPPAのどちらを選ぶべき?
・「屋根を使ってお小遣い(賃料)を得たい」なら屋根貸し。
・「高騰する電気代を下げたい、企業の再エネ率を高めたい」ならオンサイトPPA。
2025年現在、環境価値を重視する風潮から、法人の多くはオンサイトPPAを選択する傾向にあります。
太陽光発電の「屋根貸し」4つのメリット

屋根貸しを導入することで得られるメリットは、単なる金銭面だけではありません。
メリット1:完全な初期費用・維持費ゼロ
数百万〜数千万円かかる産業用太陽光発電の導入コストをすべて事業者が負担します。また、20年間の運用中にかかる法定点検や清掃、故障時の修理費用も貸主の負担は一切ありません。
メリット2:安定した賃料収入
屋根の面積に応じた一定額、あるいは発電量に応じたパーセンテージで賃料が入ります。空きスペースを収益化できるため、不動産投資に近い感覚で運用できます。
メリット3:屋根の遮熱効果と劣化抑制
屋根一面にパネルを設置することで、夏場の直射日光が直接屋根材に当たるのを防ぎます。これにより、最上階の室温が2〜5度程度下がると言われており、冷房効率の向上に寄与します。また、紫外線や雨風による屋根材の劣化を遅らせる効果も期待できます。
メリット4:非常時の自立運転(契約による)
多くの屋根貸し契約では、災害による停電時に「自立運転用コンセント」から、太陽光が当たっている間だけは無償で電気を使える条項が含まれています。BCP(事業継続計画)対策の一助となります。
太陽光発電の「屋根貸し」デメリットとリスク
メリットが多い一方で、長期にわたる契約ゆえの制約も存在します。
デメリット1:契約期間の長さ(20年前後)
事業者は初期投資を売電収入で回収するため、契約期間は通常20年程度と非常に長くなります。この間、屋根を自由に使うことはできません。
デメリット2:建物売却や解体の制限
契約期間中に建物を解体したり、大規模な改修工事を行ったりすることは原則できません。もし貸主都合で契約を破棄・撤去する場合、多額の違約金が発生するリスクがあります。
デメリット3:自社で「環境価値」を主張できない
屋根貸しで発電された電気は「誰か他の人が使う電気」として売られます。そのため、パネルが屋根に載っていても、その建物の電力使用量におけるCO2排出量が減るわけではありません。
太陽光発電の屋根貸しの賃料相場

気になる賃料ですが、2025年の市場動向では以下の水準が一般的です。
・面積あたりの単価: 年間 100円〜300円 / ㎡
・売電収入配分: 発電事業者の売電収入の 5%〜10% 程度
屋根貸しの賃料相場シミュレーション例
1,000㎡(約300坪)の工場の屋根を年間200円/㎡で貸した場合
1,000㎡ × 200円 = 年間 200,000円
→20年間で合計 400万円 の収益となります。
金額としては決して大きくありませんが、「何もしなくても入ってくる収入」としては魅力的です。
太陽光発電の屋根貸し導入に適している建物の条件
すべての屋根が「屋根貸し」に選ばれるわけではありません。事業者が利益を出せる(=採算が合う)条件が必要です。
・屋根の面積: 最低でも 300㎡〜500㎡以上(パネル容量で50kW程度以上)
・築年数と耐久性: 今後20年間、屋根の大きな補修が不要であること。
・耐震性: 1981年以降の新耐震基準を満たしていること。
・周囲の環境: 高層ビルや高い山がなく、1日を通して影が差さないこと。
屋根貸し契約における「出口戦略」の重要性

屋根貸しで最も注意すべきは、20年後の契約満了時にどうするかです。
パターン1:設備を無償譲渡してもらう
以後は自社の設備として使い、自家消費や売電を行う。ただし、その後のメンテナンスや廃棄費用は自社持ちになります。
パターン2:事業者に撤去・更地返還してもらう
契約当初から撤去費用の負担区分を明確にしておく必要があります。
特に、2020年代後半からは、初期の太陽光発電設備が次々と寿命や契約満了を迎える「大量廃棄時代」に突入します。ここで重要になるのが、パネルのリサイクルです。
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太陽光発電の屋根貸しは、初期費用ゼロで収益化できる優れた仕組みですが、契約終了後に役目を終えたパネルの「廃棄責任」を見据えることが不可欠です。パネルには有害物質が含まれる場合もあり、不適切な投棄は法的罰則だけでなく、企業の社会的信用を大きく損なうリスクがあります。
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