農業の未来を切り拓く「一石二鳥」の再エネ戦略
日本の農業は現在、担い手不足や耕作放棄地の増大といった深刻な課題に直面しています。その一方で、企業には2050年のカーボンニュートラル実現に向けた具体的なアクションが求められています。
この「農業の持続可能性」と「再生可能エネルギーの拡大」という2つの課題を同時に解決するイノベーションとして注目されているのが、【ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)】です。
今回の記事では、ソーラーシェアリングの基礎知識から、導入に使える補助金情報、運営を成功させるポイントまで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)とは?

ソーラーシェアリングとは、農地に支柱を立て、作物を栽培する上方空間に太陽光パネルを設置することで、「農業」と「発電」を同じ土地で同時に行う取り組みです。農林水産省では正式に「営農型太陽光発電」と定義されています。
最大の特徴は、植物が光合成に利用できる光の量には限界がある(光飽和点)という性質を利用している点です。限界を超えた余分な太陽光を発電に回すため、作物の生育を妨げることなく、クリーンなエネルギーを創出できます。
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の導入が進む背景
ソーラーシェアリングが今、全国で急速に普及している背景には、単なる環境への配慮だけでなく、日本の農業構造が抱える根深い課題を解決し、企業の経済合理性を担保できる「実利」があるからです。
背景1:農業所得の安定化と経営の多角化
日本の農業経営における最大の課題は、天候不順や市場価格の変動、さらには肥料・燃料費の高騰による収益の不安定さです。ソーラーシェアリングを導入することで、従来の作物販売収入に加え、天候に左右されにくい「第2の収益柱」を構築できます。
売電収入による下支え
FIT制度(固定価格買取制度)やFIP制度を活用することで、20年間にわたる長期的な現金収入が見込めます。
エネルギーコストの削減
発電した電気を農機の充電、ビニールハウスの温度管理、灌漑ポンプの動力などに自家消費することで、高騰を続ける電気代の支出を大幅に抑制。生産コストを下げ、利益率の高い農業経営を実現します。
背景2:脱炭素経営(ESG・SDGs)への実効的な貢献
サプライチェーン全体での温室効果ガス削減(Scope 3)が求められる中、企業にとって再エネの確保は「生存戦略」です。ソーラーシェアリングは、自社所有の遊休地や地域の農地を直接活用するため、実効性の極めて高い脱炭素アクションとなります。
「追加性」のある再エネ創出
既存の再エネ証書を購入するだけでなく、自ら新しい発電設備を増やすことは、ESG投資において「追加性(Additionality)」として高く評価されます。
グリーンブランドの確立
再エネ100%の電力で育てた「低炭素農産物」としてのブランド化が可能になり、環境意識の高い消費者や取引先への強力なアピール、ひいては企業イメージの大幅な向上に直結します。
背景3:耕作放棄地の解消と地域経済の再生
高齢化や後継者不足により、活用されないまま荒廃していく「耕作放棄地」は、全国で社会問題化しています。ソーラーシェアリングは、こうした土地を「負担」から「資産」へと変える力を持っています。
遊休資産の収益化
農業の継続が困難でコストのみが発生していた土地に発電設備を設置することで、土地の維持管理費を賄いながら利益を生むことが可能になります。
地域雇用の創出
ソーラーシェアリングによって農業の収益性が向上すれば、若手農家の新規就農や、発電設備の保守点検等における地元企業の参画が期待できます。これは、人口減少に悩む地域コミュニティの維持や、地方創生における重要なソリューションとなります。
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)導入の4つのメリット

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を導入することで、様々なメリットが得られます。ここでは代表的な4つのメリットをご紹介します。
メリット1:耕作放棄地(青地)の有効活用
通常、農地以外の用途への転用が厳しい「農業振興地域(青地)」であっても、営農を継続することを条件とした「一時転用許可」を得ることで設置が可能です。
これまで維持コストのみが発生していた負の資産を、価値を生み出す「自家発電所」へと生まれ変わらせることができます。
メリット2:栽培に適した多様な作物の選択
ソーラーシェアリングでは、パネルの隙間や角度を調整することで、多様な作物を栽培可能です。
相性の良い作物例
ブルーベリー、茶、キクラゲ、ミョウガ、コマツナ、サカキなど。 近年では、パネルによる適度な遮光が夏季の猛暑から作物を守る「酷暑対策(遮熱効果)」としてのメリットも非常に高く評価されています。
メリット3:脱炭素経営の加速
自社で発電した電力を農機の充電やビニールハウスの空調に利用することで、化石燃料に依存しない「グリーン農産物」の生産が可能になります。
これは、サプライチェーン全体での排出量削減(Scope 3対策)を目指す企業にとって、競合他社との強力な差別化ポイントとなります。
メリット4:安定した長期収益の確保
農業は天候や市場価格に左右されやすい事業ですが、太陽光発電は日射量に基づいた収益予測が立てやすいのが特徴です。
FIT(固定価格買取制度)や、需要家と直接契約するPPAモデルを組み合わせることで、20年という長期スパンでの安定したキャッシュフローが見込めます。
【2025年最新】ソーラーシェアリングで活用できる補助金
ソーラーシェアリングは通常の野立て太陽光に比べて支柱が高く、基礎工事も複雑になるため、初期費用が高額になりがちです。そのため、国や自治体の補助金活用を前提とした事業計画が成功の鍵となります。
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の導入に使われる代表的な補助金は、環境省が実施している「地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業」です。
※補助内容は事業の補助対象や公募回によって異なりますので、詳しくは公式サイトをご覧ください。
地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業
補助率
「補助対象経費の 1/2(上限1.5億円程度)
主な採択要件
・適切な営農が継続されること(収量報告の義務遵守)。
・発電した電力を一定割合以上、自家消費または地域で活用すること。
・停電時などの非常時に地域住民が電力を利用できるレジリエンス機能を備えること。
自治体独自の独自支援策
東京都や千葉県、静岡県など、ソーラーシェアリングの導入実績が多い自治体では、国と連携した独自の上乗せ補助を行っている場合があります。
これらを併用することで、初期投資の回収期間を5年〜7年程度まで短縮できるケースも出てきています。
導入前に知っておきたい課題と注意点
注意点1:農地の一時転用許可と更新リスク
ソーラーシェアリングの支柱部分は「農地の一時転用」という扱いになります。
更新期間
原則3年(担い手が自ら営農する場合や、荒廃農地を活用する場合は10年)ごとに更新が必要です。
厳格な運用
毎年の収量報告において、地域の平均収穫量から2割以上減少したり、品質が著しく劣化したりした場合には、設備の撤去を命じられる法的リスクがあります。
注意点2:設備コストと融資のハードル
パネルを地上2〜3メートル以上に配置するため、強風や積雪に耐えうる強固な設計が求められます。一般的な太陽光発電に比べコストは1.5倍程度。
また、一時転用許可が「期間限定」であるため、一部の金融機関では融資期間が制限されることもあります。実績豊富なEPC業者(設計・施工業者)選びが重要です。
ソーラーシェアリングで使用済みの太陽光パネル処理は「オルビー環境」へ

ソーラーシェアリングは、農業の持続可能性とクリーンエネルギーの創出を両立させる、次世代のスタンダードです。しかし、20年、30年と事業を継続した後、あるいは役目を終えた設備をどう処理するかまで考えておくことが、真の環境経営における「社会的責任」です。
農地という生命を育む土地を借りて発電を行う以上、不適切な廃棄や放置は許されません。太陽光パネルの廃棄・リサイクルには「オルビー環境」へお任せください。
オルビー環境は、関西(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山)を拠点に、全国エリアで対応可能で、撤去から搬出、収集運搬、最終的な適正処理・リサイクルまでの全てにワンストップで対応しています。
使用済み太陽光パネルを少しでも安く処理したいというご要望にも、できる限りお応えできるよう様々な工夫をしております。太陽光パネルの処理にお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。



