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2025.12.09
太陽光パネル

【徹底検証】太陽光発電はエコじゃない?「やめとけばよかった」と言われる理由

自宅への太陽光パネル設置や、再生可能エネルギーへの投資を検討している時に、「太陽光発電は実はエコじゃない」 「設置しなければよかった」というようなネガティブな情報を見かけて不安になったことはありませんか? 

クリーンなエネルギーの代表格であるはずの太陽光発電が、なぜ「環境に悪い」「迷惑施設」のように言われてしまうのでしょうか。そこには、誤解に基づいた噂と、私たちが直視しなければならない「本当の課題」の両方が存在します。

今回の記事では、太陽光発電が「エコじゃない」と言われる具体的な根拠を深掘りし、データに基づいた真実と、後悔しないために知っておくべき「終わりの始め方(廃棄問題)」について解説します。

なぜ「太陽光発電はエコじゃない」と言われるのか?3つの主な論点

太陽光パネルのリサイクル・適正処理

ネット上や口コミで囁かれる「アンチ太陽光」の意見には、大きく分けて3つの論点があります。これらは単なるデマもあれば、一部の行き過ぎた事業による事実も含まれています。

論点1:パネルを作るために大量のエネルギーを消費している説

最もよく聞かれるのが「電気を作るために、製造段階でそれ以上の化石燃料を燃やしている」という説です。

シリコンなどの原材料を採掘し、高温で加工してパネルを製造し、それを運搬する過程で排出されるCO2が、発電によって削減できるCO2を上回るのではないかという疑念です。

「元が取れないならエコじゃない」という主張は、一見もっともらしく聞こえるため、多くの人が不安に感じるポイントとなっています。

論点2:山林を切り開く「メガソーラー」による環境破壊

これは実際に日本各地で問題視されている点です。固定価格買取制度(FIT)の開始以降、収益を優先した一部の事業者が、豊かな山林を伐採して大規模な野立て太陽光発電所(メガソーラー)を建設しました。

「自然を守るための再エネ設備を作るために、自然(木々)を破壊する」という本末転倒な状況が生まれ、土砂崩れのリスク増や景観の悪化を招いたことから、「太陽光発電=自然破壊」というイメージが定着してしまいました。

論点3:有害物質と廃棄ゴミの問題

「パネルには猛毒が含まれている」「使い終わったら大量の産業廃棄物になる」という懸念も根強くあります。

カドミウムや鉛などの有害物質が垂れ流しになるのではないかという不安や、将来的にゴミの山ができるのではないかという指摘は、エコを意識する人ほど敏感になるポイントです。

特に、適切な処理ルートが確立されていないのではないかという不信感が、この主張を後押ししています。

「やめとけばよかった」の正体は?考慮すべき導入者の個人的感想

太陽光パネルのリサイクル・適正処理

「エコじゃない」という議論とセットで語られるのが「やらなきゃよかった」という個人の後悔です。しかし、この両者を混同してはいけません。

個人の「後悔」の多くは、環境性能そのものではなく、主に「経済面・運用面」のトラブルに起因しているからです。

感想1:シミュレーションと現実のギャップによる金銭的な不満

後悔の理由として最も多いのは、事前の発電シミュレーションと実際の発電量に乖離が生じたケースです。天候不順や周辺建物の影の影響を甘く見積もっていた結果、期待した売電収入が得られず、ローン返済計画が狂ってしまうことがあります。

また、「メンテナンスフリー」という言葉を鵜呑みにしていたものの、実際にはパワーコンディショナ(パワコン)の交換費用や定期点検コストが発生し、想定外の出費に繋がったという事例も少なくありません。

感想2:悪質業者や施工トラブルに巻き込まれたケース

もう一つの大きな要因は、業者選びの失敗です。相場より著しく高い価格で契約させられたり、施工技術が未熟なために雨漏りが発生したりといったトラブルです。

これらは太陽光発電システムそのものの環境性能の欠陥ではなく、「事前の計画不足」や「業者の質」による問題です。感情的な「やめとけばよかった」という言葉の裏には、こうした経済的な損失や人間関係のトラブルが隠れていることが多いため、環境問題とは切り離して考える必要があります。

データで見る真実!製造時のCO2と「エネルギーペイバックタイム」

太陽光パネル

では、科学的な視点で「エコじゃない(製造エネルギーの方が大きい)」説を検証してみましょう。ここで重要になる指標が「EPT(エネルギーペイバックタイム)」です。

データ1:わずか1〜2年で「元が取れる」という事実

EPTとは、発電設備が製造から廃棄までに消費するエネルギーを、その設備自身の発電によって何年で回収できるかを示す指標です。結論から言うと、太陽光発電のEPTはおよそ1年から2年と言われています。

太陽光パネルの寿命は一般的に20年〜30年とされているので、最初の1〜2年稼働すれば、製造にかかったエネルギーの「借金」は完済できるのです。残りの20年以上は、純粋にクリーンなエネルギーを生み出し続ける期間(お釣りが来る期間)となります。

「製造にエネルギーを使うからエコではない」という主張は、この圧倒的な回収効率を見落としています。

データ2:CO2排出量は火力の10分の1以下という圧倒的差

発電量あたりのCO2排出量(ライフサイクルCO2)を比較しても、太陽光発電の優位性は明らかです。

石炭火力発電が1kWhあたり約900g以上のCO2を排出し、比較的クリーンとされるLNG(天然ガス)火力でも約400〜500gを排出するのに対し、太陽光発電は製造・輸送・廃棄などの過程を含めても約17〜40g程度と推計されています。

太陽光発電は、稼働中にCO2を排出しません。製造過程を含めたとしても、火力発電と比較すれば桁違いに環境負荷が低いエネルギー源であることは、客観的なデータが証明しています。

太陽光発電が本当に「環境汚染」になるリスクとは

太陽光パネルは「環境破壊」の元凶か?大規模開発の事例と持続可能な事業運営の鍵

ここまでで、太陽光発電の「稼働中」の性能は十分にエコであることがわかっていただけたのではないでしょうか?しかし、本当の問題は「稼働が終わった後」に潜んでいます。これこそが、「エコじゃない」と言われないために直視すべき最大の課題です。

課題1:2040年問題と不法投棄のリスク

2012年のFIT制度開始以降に大量導入されたパネルたちが、2030年代後半から2040年頃にかけて一斉に寿命を迎えます。その量は年間数十万トンにも及ぶと予測されており、これをどう処理するかは国の重要課題となっています。

もし、廃棄費用を惜しんだ事業者が山林にパネルを不法投棄すれば、環境汚染は避けられません。パネルの成分の大部分はガラスですが、破損した断面は鋭利で危険ですし、放置されれば景観破壊だけでなく、有害物質への懸念も生じます。

太陽光発電が「エコじゃない」存在になってしまう唯一のシナリオは、「最後(廃棄)の処理を怠ったとき」なのです。

課題2:有害物質への誤解と正しい知識

「有害物質が出る」という噂についても正しく理解する必要があります。

現在普及しているシリコン系パネルの主な成分は、ガラス、アルミフレーム、シリコン樹脂、バックシートなどです。カドミウムなどの猛毒が含まれている製品は極めて稀ですが、ハンダ付け部分に微量の鉛が含まれることはあります。

だからこそ、一般ゴミとして適当に捨てるのではなく、専門技術を持った業者による適正な処理が必要不可欠です。適切なルートで処理されれば、これらの物質が環境中に漏れ出すことはありません。

本当のエコを実現するために必要な出口戦略

太陽光発電を名実ともに「エコなエネルギー」にするためには、私たち利用者が「出口戦略」を持っておく必要があります。

出口戦略1:「安さ」だけで撤去業者を選ばない重要性

パネルを撤去・廃棄する際、「とにかく安い業者」を探そうとするのは危険です。不当に安い業者は、選別やリサイクル工程を省き、不法投棄や不適切な埋め立てを行っているリスクがあるからです。

あなたの家や事業で電気を作ってくれたパネルが、どこかの山に捨てられて環境を汚染していたら、それは本当の意味での「エコ」とは言えません。

見積もりの安さだけでなく、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行や、処理フローの透明性を確認し、信頼できる業者を選ぶことが所有者の責任です。

出口戦略2:資源を循環させる「リサイクル」こそが鍵

使用済みパネルは、単なるゴミではありません。適切な処理を行えば、アルミフレームやガラス、さらには銀などの有用な金属を取り出し、再び資源として活用することができます。

「作る→使う→捨てる」という一方通行ではなく、「作る→使う→再生する」というサーキュラーエコノミー(循環型経済)の輪をつなぐことが、これからの太陽光発電には求められています。

リサイクル率の高い処理方法を選択することで、初めて太陽光発電は「完全なエコ」へと進化するのです。

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