近年、気候変動の影響により、集中豪雨や台風による水害が日本各地で頻発しています。住宅の浸水被害だけでなく、屋外に設置された太陽光発電システムが水没するケースも増えており、「太陽光パネルが水に浸かったらどうなるの?」「危険はないの?」「修理費用は補償される?」といった不安の声が聞かれます。
特に知っておきたいのは、水没・破損した太陽光パネルは、光が当たっていれば発電を続けるため、感電のリスクが極めて高いという事実です。復旧作業中の二次災害を防ぐためにも、水害時の正しい知識と対応が不可欠となります。
今回の記事では、経済産業省や太陽光発電協会の注意喚起に基づき、水没した太陽光パネルへの正しい対処法、感電防止のポイント、そして気になる水害時の補償内容までを詳しく解説します。
水没した太陽光パネルはなぜ危険なのか?感電リスクのメカニズム

水害で浸水・水没した太陽光発電設備は、一見すると機能停止しているように見えますが、実は非常に危険な状態にある可能性があります。その最大の理由は「感電」のリスクです。
危険性1:光があれば発電し続ける
太陽光パネルは、太陽光を受けて電気を生み出す仕組みのため、たとえ水に浸かっていたとしても、光が当たっていれば発電を停止することはありません。日中の時間帯であれば、パネルが水没していても電気が流れ続けている状態なのです。
通常、太陽光発電システムには漏電遮断器などの安全装置が備わっていますが、浸水や機器の破損によってこれらが正常に機能しない場合や、水が電路の役割を果たして予期せぬ経路で電気が流れる可能性があります。
危険性2:水に濡れた人体は電気が流れやすい
人体の電気的抵抗値は、皮膚が乾燥している状態と濡れている状態では大きく異なります。水に濡れている状態では抵抗値が大幅に低下し、電気が格段に流れやすくなります。
水没した太陽光発電設備に近づいたり、不用意に触れたりすることは、濡れた状態の身体に電気が流れ込みやすくなるため、通常の何倍も感電のリスクが高まることを意味します。
微弱な電流でも、心臓に影響を及ぼす心室細動を引き起こし、最悪の場合は死に至る可能性もあります。
危険性3:直流電流と高電圧の危険性
太陽光パネルで発電される電気は「直流」です。これがパワーコンディショナーを通して「交流」に変換され、家庭や電力系統に供給されます。
一般的に、直流電流は交流電流に比べて危険度が低いと言われることがありますが、大型の太陽光発電設備が生み出す電圧は非常に高いため、直流であっても触れれば命に関わる重大な感電事故につながる危険性があります。
浸水により、モジュール(太陽光パネル)だけでなく、集電箱やパワーコンディショナー、送電設備(キュービクル等)なども水に浸かることがあります。
これらの機器内部に水が入り込んだり、配線が破損したりすることで、本来電気が流れない箇所にまで電流が流れ、極めて危険な状態となるのです。
水没した太陽光パネルを見つけたら!感電を防ぐための正しい行動2選

水没した太陽光発電設備に遭遇した場合、最も重要なのは「むやみに近づかないこと」と「専門家への連絡」です。
正しい行動1:絶対に近づかない、触らない
経済産業省は、豪雨災害後の注意喚起として、浸水・破損した太陽光発電設備には絶対に近づかないよう、強く呼びかけています。 以下の設備には特に注意が必要です。
水没しているモジュール(太陽光パネル)
光が当たっていれば発電しているため、触れると感電する恐れがあります。
漂流・漂着したモジュール(太陽光パネル)
河川氾濫などで流されたパネルも同様に発電し続けている可能性があります。
水が引いた後の設備
集電箱やパワーコンディショナーの内部に水が残っていたり、湿気や汚損によって発火したりするリスクがあります。
これらの設備を周囲で見かけた場合は、危険であることを周囲の人々にも伝え、十分に距離を保つようにしてください。
正しい行動2:専門家へ速やかに連絡する
もし水没した太陽光発電設備を見つけた場合、状況を判断したり、自力で対処しようとしたりすることは絶対に避け、速やかに専門家へ連絡することが最も重要です。
50kW未満の低圧設備(住宅用、小規模産業用など)
設備を販売・施工した事業者(工務店や販売店)に連絡してください。連絡先が不明な場合は、お住まいの地域の電力会社や、一般社団法人太陽光発電協会に問い合わせることも有効です。
50kW以上の高圧設備(大規模産業用など)
設備の管理責任者である「電気主任技術者」に連絡してください。これは法的に選任が義務付けられている専門家です。
水没した太陽光パネルをやむを得ず取り扱う場合の注意点

復旧作業などで、やむを得ず漂流・漂着した太陽光パネルを取り扱う必要がある場合は、以下の感電防止策を徹底してください。
注意点1:素手で触らない
必ずゴム手袋やゴム長靴を着用し、絶縁性の高い保護具を使用してください。
注意点2:パネル面を覆う・下に向ける
ブルーシートなどでパネル面を遮蔽するか、パネル面を地面に向けて光が当たらないようにすることで、発電を一時的に停止させ、感電リスクを低減できます。
注意点3:廃棄は自治体の指示に従う
破損したパネルを廃棄する際は、自治体の指示に従い、適切な方法で処理してください。安易な一般ごみとしての廃棄は絶対に行わないでください。
太陽光発電は水害まで補償されるのか?自然災害補償と保険の基礎知識

水害によって太陽光発電システムが損壊した場合、修理や交換には高額な費用がかかります。この費用が補償されるかどうかは、事前に確認しておきましょう。
自然災害補償の確認
多くの太陽光発電メーカーは、製品保証とは別に「自然災害補償」を用意しています。
この補償内容はメーカーによって異なりますが、一般的に水害(洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れなど)が補償対象に含まれているケースが多いです。
購入時には必ず以下の点を確認しましょう。
補償の範囲
どのような自然災害が補償対象となるのか。水害の具体的な種類(洪水、津波など)が明記されているか。
免責事項
補償の対象外となる条件がないか(例:設置から一定期間が経過している、補償上限額があるなど)。
申請手続き
災害発生時の連絡先や、補償申請に必要な書類、手続きの流れなどを把握しておきましょう。
万が一の事態に備え、購入段階でしっかりと自然災害補償の内容を確認し、安心して運用できるメーカーや販売店を選ぶことが大切です。
火災保険・地震保険の適用可能性
住宅用太陽光発電の場合、ご自宅の火災保険で補償されるケースもあります。
火災保険の多くは、火災だけでなく、風災、ひょう災、雪災といった自然災害による損害も補償対象としています。特約によって水害補償が付帯されている場合も少なくありません。
火災保険の確認
ご自身が加入している火災保険の契約内容を確認し、太陽光発電設備が補償対象に含まれているか、また水害(浸水、洪水など)による損害がカバーされるかを確認しましょう。
地震保険
地震による津波で水没した場合は、火災保険ではなく地震保険が適用される可能性があります。
ただし、保険会社や契約内容によって補償範囲は大きく異なります。不明な点があれば、必ず加入している保険会社に問い合わせて、詳細を確認してください。
水害からの復旧!点検・メンテナンスの手順と発火防止の注意点

水が引いた後も、太陽光発電設備には潜在的な危険が残されています。安全な復旧作業と二次災害防止のためには、専門家による慎重な点検と処置が不可欠です。
専門業者による入念な点検
水害後の復旧作業は、必ず太陽光発電設備の設置業者や専門のメンテナンス業者に依頼してください。
水が引いた後であっても、集電箱やパワーコンディショナーの内部に水分が残っていたり、湿気や汚損によって発火のリスクが高まったりする可能性があるためです。
専門業者は、以下のような詳細な点検を行います。
外観点検
設備の損傷、汚れ、異物の付着などを確認します。
電気的点検
絶縁抵抗値の測定、配線の導通確認などを行い、漏電やショートのリスクを徹底的に診断します。
内部点検
パワーコンディショナーなどの内部に水分や異物が残っていないかを確認し、必要に応じて乾燥や清掃、部品交換を行います。
これらの点検は、専門的な知識と機器がなければ正確に行うことはできません。安易な自己判断は、新たな事故を引き起こす原因となります。
発火防止のための処置
水害後の設備は、内部に残った湿気や土砂、塩分などによって、電気火災のリスクが著しく高まります。ショートによる発火を防ぐためには、以下の点に特に注意が必要です。
完全に乾燥させる
機器内部に残った水分が完全に乾燥するまで、通電は絶対に行わないでください。
清掃と絶縁処理
内部に侵入した土砂や異物を完全に除去し、必要に応じて絶縁処理を施します。
部品交換
浸水の影響を受けた部品や、劣化が確認されたケーブル、コネクタなどは、安全のために交換が必要です。
復旧作業に当たっては、経験豊富な専門家が、感電防止策と電気火災防止策を徹底しながら慎重に進めることが求められます。
水害時の太陽光パネルは「危険物」正しい対応で安全を守る

太陽光発電はクリーンなエネルギー源ですが、水害時には潜在的な危険をはらむ「危険物」となり得ます。水没・破損した太陽光パネルは、光がある限り発電し続け、触れると感電するリスクがあることを常に認識しておくことが重要です。
しかし、どれだけ注意を払っても、予期せぬ自然災害によって太陽光パネルが損壊し、交換が必要となるケースは避けられません。破損したり、長期的な浸水によって再利用が困難になったりした太陽光パネルは、適切に処理しなければ環境負荷となります。
オルビー環境では、使用済みとなった太陽光パネルの設備解体から、安全な運搬、厳密な選別、環境に配慮した適正処理・リサイクル、そして法令に則った最終処分までをワンストップで提供しています。
関西エリア(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)を中心に全国対応しており、水害で損壊した太陽光パネルの処理や、交換が必要となった際の廃棄・リサイクルでお困りの際は、ぜひオルビー環境へご相談ください。



