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太陽光発電は、屋外に設置される特性上、その性能を長期にわたって維持するには適切な「メンテナンス」が欠かせません。特に、2017年の改正FIT法（固定価格買取制度）施行以降、太陽光発電設備の定期点検と維持管理は法的義務となり、その重要性は一層高まっています。
「メンテナンスって具体的に何をすればいいの？」「費用はどれくらいかかるの？」「自分で点検できる範囲は？」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか？
今回の記事では、太陽光発電のメンテナンスがなぜ義務化されたのか、その具体的な内容、適切な管理方法、そしてプロの活用術までを網羅的に解説します。
太陽光発電のメンテナンスは義務化された？改正FIT法の背景
経済産業省が2017年4月1日に施行した改正FIT法は、安定的な再生可能エネルギー供給体制の確立を目的とし、すべてのFIT認定設備に対する適切な保守点検・維持管理を義務化しました。
以前は50kW以上の産業用設備のみが対象でしたが、改正後は10kW未満の住宅用太陽光発電システムも含まれるようになり、その適用範囲が大幅に拡大されたのです。
義務化の背景には、以下のような課題がありました。
課題1：放置された設備の増加
設置後に手入れされず、発電効率が著しく低下したり、故障したまま放置される設備が散見されました。
課題2：安全性の問題
劣化や損傷が見過ごされた結果、配線のショートによる火災や、強風によるパネルの飛散など、安全に関わる事故が発生するリスクが高まりました。
課題3：発電ロスと国民負担
適切に管理されない設備は、本来得られるはずの発電量を喪失し、固定価格買取制度を通じて支払われる国民の電気料金にも悪影響を及ぼしかねません。
これらの問題を解決し、再生可能エネルギーの健全な普及と安全な運用を促進するため、太陽光発電設備の定期的なメンテナンスが法的に義務付けられることになったのです。
義務を怠った場合の措置
FIT認定を受けた設備が定期点検や適切な維持管理を怠った場合、単に発電効率が落ちるだけでなく、法的な罰則が科される可能性があります。
具体的には、再生可能エネルギー特別措置法に基づき、経済産業省からの指導・助言、改善命令、最悪の場合にはFIT認定の取り消しや売電停止といった処分を受けることがあります。
太陽光発電の定期点検・メンテナンスの具体的な内容
太陽光発電システムのメンテナンスは、大きく分けて「保守点検」と「維持管理（メンテナンス作業）」の2つに分類されますが、広義ではこれら全てを「メンテナンス」と呼ぶことも少なくありません。
種類1：保守点検
保守点検とは、設備が正常に機能しているかを確認するための専門的なチェック作業です。
目視点検
太陽光パネルの表面のひび割れ、汚れ、架台のサビや緩み、配線の損傷、雑草による影、周辺設備の異常などを確認します。初期不良や経年劣化の兆候を早期に発見する上で不可欠です。
電気的点検・数値測定
専門機器を用いて、パネルごとの開放電圧、短絡電流、絶縁抵抗値などを測定します。これにより、漏電の有無、パネルの劣化、配線の異常などを数値的に診断します。
接地抵抗（アース）の測定
雷などによる過電流が安全に大地へ流れるかを確認するため、接地抵抗値が適切かを測定します。異常があれば、感電や機器損傷のリスクが高まります。
種類2：維持管理
維持管理は、点検で発見された問題の対処や、発電効率を維持するための具体的な作業を指します。
パネル洗浄
パネル表面に付着した土埃、花粉、鳥の糞、水垢などは発電効率を低下させます。専用の洗浄器具や純水、中性洗剤などを用いてパネルを清掃し、太陽光の透過率を回復させます。
草刈り・周辺環境の整備
パネルの下や周囲に生い茂る雑草は、パネルに影を落として発電量を低下させたり、通気性を悪化させたり、小動物の隠れ家となってケーブルを損傷させる原因にもなります。定期的な草刈りや防草シートの設置など、周辺環境の管理が重要です。
ボルトの増し締め・部品交換
長年の風雨や振動により、架台やパネルを固定するボルトが緩むことがあります。緩みはパネル落下などの重大な事故につながるため、定期的な増し締めが必要です。
また、劣化したケーブル、コネクタ、ブレーカー、そして寿命を迎えるパワーコンディショナーなどの部品は、適宜交換する必要があります。
定期点検の頻度と費用の目安
義務化された定期点検ですが、「どれくらいの頻度で、どれくらいの費用がかかるのか」は、運用計画を立てる上で非常に重要な情報です。
点検の推奨頻度
一般社団法人日本電機工業会・太陽光発電協会が定める「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」に基づくと、推奨される点検頻度は以下の通りです。
| 設備の種類 | 推奨点検頻度 | 主な施設 |
| 低圧の太陽光発電（50kW未満） | 設置後1年目、その後は4年に1回以上 | 戸建住宅、小規模工場、アパートなど |
| 高圧の太陽光発電（50kW以上） | 受変電設備：2～6ヶ月に1回、パネル・パワコン：6ヶ月に1回 | 大規模工場、商業施設、メガソーラーなど |
特に、メーカー保証が切れる前の9年目や、出力保証が切れる20年目以降には、消耗品の交換や大規模な改修を検討するためにも、必ず詳細な点検を実施することが推奨されます。
また、落雷、台風、豪雨、地震などの自然災害が発生した後は、損傷がないか速やかに自主点検を行い、異常があれば専門業者に連絡することが不可欠です。
※情報参照元：太陽光発電システム保守点検ガイドライン（https://www.city.tokamachi.lg.jp/material/files/group/21/guide_line.pdf）
太陽光パネルのメンテナンスは自分でできる？どんなリスクがある？
「費用を節約したいから」といって、太陽光パネルの清掃や点検をすべて自分で行うことはメーカーからも非推奨とされています。これは、以下のようなリスクがあるためです。
リスク1：転落・感電の危険
屋根上での作業は非常に危険であり、感電のリスクも伴います。専門知識なしに電気系統に触れることは絶対に避けるべきです。
リスク2：パネル損傷のリスク
不適切な清掃方法（高圧洗浄機の直接噴射、硬いブラシの使用など）はパネル表面を傷つけ、発電効率の低下や故障の原因となります。水道水に含まれるカルキ成分が水垢となり、パネルに悪影響を及ぼす可能性もあります。
リスク3：メーカー保証の対象外
自己メンテナンスによってパネルが損傷した場合、メーカー保証の対象外となり、高額な修理費用が自己負担となる可能性があります。
自分で行う場合は、地上から届く範囲の軽微な汚れ（鳥の糞や落ち葉など）を、ゴム手袋とトングで取り除き、マイクロファイバーモップで優しく拭き取る程度に留めましょう。
太陽光パネルのメンテナンスは「日常点検」が最重要！
定期点検はプロに任せるとして、私たち自身にできることもあります。それが「日常点検」です。毎日の発電量をモニタリングしたり、目視で確認できる範囲での異常チェックは、トラブルの早期発見につながります。
発電量のモニタリング
毎日の発電量データを記録し、過去の同日や周辺環境のデータと比較することで、異常な発電量の低下をいち早く察知できます。
外観チェック
パネル表面に大きな汚れがないか、架台や配線に目立った損傷がないか、パワーコンディショナーから異音や異常な発熱がないかなどを、安全な場所から確認しましょう。
日常点検で異常を発見した場合は、速やかに専門業者に連絡することが重要です。
使用済み太陽光パネル処理は「オルビー環境」へ
どれだけ適切にメンテナンスを行っても、自然災害や経年劣化によって太陽光パネルが破損したり、その寿命を迎えることは避けられません。
使用済みとなった太陽光パネルには、有害物質が含まれる可能性もあり、その適正な廃棄・リサイクルは、排出事業者（設備所有者）の法的・社会的責任となります。
オルビー環境は、この課題に対し、使用済み太陽光パネルの解体から、安全な運搬、厳密な選別、環境負荷の少ないリユース・リサイクル処理、そして法令に則った最終処分までをワンストップで提供しています。
関西エリア（大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山）を中心に全国対応しており、メンテナンス時の交換パネルや、寿命を迎えたシステムの廃棄・リサイクルでお困りの際は、ぜひオルビー環境へご相談ください。
