要注意!木毛板にもアスベストが!?
建物の解体・リノベーションを計画する際、天井や壁の下地材である「木毛板(木毛セメント板)にアスベストが使用されている危険性があるらしい」と、不安に感じている方も多いのではないでしょうか?
過去には、建築資材の約8割でアスベストが使用されていた時期があり、特に1970年代から1990年代初頭に製造された木毛板の一部には、アスベストが混入していた可能性があります。
今回の記事では、木毛板とアスベスト混入の実態について、製造年代別のリスク、JIS規格に基づく安全な判別方法、そしてアスベスト含有が判明した場合に必須となる法令に則った処分フローまでを詳細に解説します。
木毛板とは?アスベスト含有リスクの全体像

木毛板(木毛セメント板)は、細長くリボンのように削り出した木材(木毛)を、セメントなどの無機結合材で圧縮成形してつくられる板状の建材です。耐久性、防火性、そして優れた吸音・断熱性を持つため、住宅やビルの天井下地、壁面、防音材、外壁下地など、幅広い建築用途で利用されてきました。
特に昭和中期から平成初期にかけて多くの建物に採用されており、その普及率の高さが、現在の解体時におけるアスベスト調査の重要性を高めています。
木毛板自体は安全だが、特定の時期にアスベストが混入
木毛板の主原料は木材とセメントであり、本来アスベストを原料としていません。しかし、過去の製造工程において、建材の強度や耐久性を高める目的で、ごくまれにアスベスト繊維が混ぜられていた時期が存在します。
このリスクは、木毛板がスレートなどの他のセメント系建材と積層された複合板(木毛セメント積層板)や、特定のメーカーが製造した製品に集中している傾向があります。
現在は、法令によりアスベストの使用が全面的に禁止されているため、現行流通品にアスベストが含まれる心配は一切ありません。
木毛板にアスベストが含有した年代はいつ?

木毛板のアスベスト含有のリスクは、建材が製造・施工された時期によって明確に分かれています。
1970年代〜1980年代前半
日本でアスベスト規制が本格化する前であり、アスベスト含有の可能性が最も高い時期です。特にJIS規格適合前の製品やメーカー不詳の商品は、厳重な注意が必要です。
1990年代以降
アスベスト使用に対する法規制が強化され、ほとんどの製品が非含有へと切り替わっています。
2006年9月以降の製品
法令によりアスベストの使用が全面禁止されたため、これらの製品はアスベストフリーであり安全です。
特に築30年以上の古い建物の場合、「竣工・施工年が1980年代以前」であれば、含有リスクを前提とした調査を計画すべきです。
木毛板のアスベスト含有を調査する2つの方法

木毛板のアスベスト含有の有無を正確に判別するためには、以下の二つの手順が不可欠です。自己判断は大きなリスクを伴うため、必ず専門家を介して進めてください。
調査方法1:書類・図面の確認
施工当時の設計図書や使用建材一覧を入手し、木毛板の商品名や規格(JIS A 6901、JIS A 6911などのJISマーク)を確認します。
JIS規格適合品であっても、古い年代の場合は規格自体にアスベストが含まれていた時期があるため、注意が必要です。
調査方法2:専門機関での実物分析
書類で判別できない場合や、解体工事で確実に安全を確保したい場合は、現場からサンプルを採取し、専門の分析機関でアスベスト含有分析(定性分析・定量分析)を依頼する方法が最も信頼性が高いです。
この分析結果は、後の法的義務(行政への報告、処分)の根拠となります。
アスベスト含有の木毛板を処理する際の注意点

アスベスト含有木毛板の取り扱いは、その後の処分方法や解体時の飛散防止対策に直結します。
注意点1:木毛板はレベル3建材に該当
アスベスト含有建材は、作業時にアスベスト繊維がどれだけ飛散しやすいかで3つのレベルに分類されます。
木毛セメント板や木毛セメント積層板は、アスベストがセメントで固化されているため、基本的に非飛散性(レベル3)に分類されます。
注意点2:破砕、切断などの作業をする際には適切な措置が必要
通常は飛散しにくい建材ですが、破砕、切断、穿孔(せんこう)といった作業を行うと飛散する恐れがあるため、作業時には適切な養生や湿潤化措置が義務付けられています。
飛散性の高いレベル1(吹付けアスベスト)ほどの厳重な隔離は不要ですが、レベル3であっても専門業者による確実な飛散防止対策と処分が必要です。
注意点3:2022年以降の法的義務
2022年4月の法改正により、一定規模以上の解体や改修工事を行う際の「事前調査結果の報告」が義務化されました。木毛板を含むアスベスト含有の有無を確認せずに作業を進めることは、罰則の対象となります。
事業者は、必ず専門家による事前調査を実施し、その結果を自治体へ電子データで報告しなければなりません。この義務を果たすためにも、分析結果を証明する公的な書類が不可欠です。
アスベスト含有の木毛板の正しい処理フロー
アスベスト含有木毛板の処分は、国の定めた厳格な手順を守る必要があります。
ステップ1:検査・証明
分析機関によるアスベスト含有証明書を取得。
ステップ2:分別・梱包
解体業者が他の廃棄物と厳密に分別し、飛散防止のため二重袋包装や表示ラベルの貼付を確実に行う。
ステップ3:収集・運搬
許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者(アスベスト処理の許可含む)が担当。
ステップ4:マニフェスト発行
運搬記録となるマニフェスト(産廃管理票)を確実に発行・管理する。
ステップ5:埋立処分
認可済み管理型処分場での処分後、証明書を取得。
これらの手順を遵守することで、健康被害や法令違反のリスクを回避できます。
木毛板のアスベスト分析調査は「オルビー環境」へ

木毛板の安全性と法的義務は、その製造年代と分析結果によって判断されます。現行品は安全ですが、古い建物に使用されている木毛板には、必ずアスベスト含有のリスクが潜んでいます。2022年以降の法改正により、事前の正確な調査なしに工事を進めることは許されません。
木毛板の処分や解体計画を安全に進めるためには、低濃度含有を見逃さず、正確な分析結果を証明することが不可欠です。オルビー環境は、このアスベスト分析と特定の分野で、お客様の正確な事前調査を強力にサポートいたします。
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