聚楽壁・砂壁にもアスベストが使われている?
建物のリノベーションや解体を進める際、日本の伝統的な内装材である聚楽壁(じゅらくかべ)や砂壁(すなかべ)、京壁(きょうかべ)といった仕上材に、有害なアスベスト(石綿)が含まれている可能性があることをご存知でしょうか?
一般住宅の和室や公共施設の休憩室などに広く用いられてきたこれらの内装塗装は、その歴史的な使用時期からアスベスト混入のリスクを抱えています。特に聚楽壁は、固形化されているとはいえ、劣化が進むと繊維が飛散しやすくなる性質を持つため、解体や改修時の取り扱いには厳重な注意が必要です。
今回の記事では、聚楽壁・砂壁とアスベスト問題の基本から、含有リスクを正確に確認する手順、そして法令に基づいた安全な除去工法(作業レベル3)までを詳細に解説します。
聚楽壁・砂壁とは?アスベストが混入した背景

まずは日本でも使われている伝統的な壁材の概要を把握しましょう。
聚楽壁の定義と特性
聚楽壁は、京都聚楽第の付近で産出された土を用いたことに由来する、日本の伝統的な塗り壁材です。
主に砂、粘土、石灰、そして藁などの天然繊維を主成分とし、優れた調湿性能と、独特の美しい質感が特徴です。砂壁や京壁も同様に、和室の仕上げ材として古くから愛用されてきました。
これらの内装塗装は、色や模様のバリエーションが非常に豊富で、多様な空間演出に貢献してきましたが、その多様性ゆえに、見た目が少しでも異なる場合は異なる建材として扱い、個別にアスベスト分析を行う必要があります。
聚楽壁にアスベストが混入した背景
聚楽壁や砂壁は、その主成分にアスベストは含まれません。しかし、建材としての性能を向上させる目的で、過去にアスベスト繊維が意図的に混ぜられていた可能性があります。
アスベストは、ひび割れを防ぐための補強材や、材料の強度や作業性を高めるための添加材として、1990年代前半以前に製造された製品に利用されていました。
このため、古い建物や、その時期に大規模な改修が行われた建物では、内装の仕上塗材にアスベスト含有リスクが潜んでいると考えられます。
アスベスト含有の聚楽壁・砂壁の危険性

聚楽壁や砂壁などの内装材は、アスベスト含有建材の中でも「非飛散性」として扱われることが多いです。しかし、これが直ちに「安全」を意味するわけではありません。
経年劣化や日常的な摩擦、建物の振動などにより、表面が脆くなったり、ボロボロと剥がれ落ちたりしている状態は、アスベストが外部に露出し、飛散性が高い状態になっている可能性があります。
そのため、通常の使用では飛散リスクは低いものの、解体やリノベーションで壁を剥がす作業を行う際には、繊維が大量に空気中に拡散する危険性が非常に高まります。
アスベストがもたらす深刻な健康被害
アスベストの危険性は、その繊維を吸入することによって、数十年後に肺癌、中皮腫、アスベスト肺といった深刻な病気を引き起こす点にあります。
潜伏期間が非常に長いため、現在作業に従事する人が、数十年後に被害者となる可能性があるという、時間差のあるリスクを常に念頭に置かなければなりません。
健康リスクを最小限に抑え、作業者や周辺住民の安全を守るには、適切なアスベスト除去と安全対策が欠かせません。
聚楽壁のアスベスト有無を確認する手順

聚楽壁にアスベストが含まれているかどうかは、外観から判断することは絶対に不可能です。見た目の色や劣化状況、触感で含有を断定することはできません。
ステップ1:建築時期・設計図書の確認
まず、建物の建築時期や内装工事が行われた時期が1990年代以前であれば、リスクが高いと推定できます。設計図書に具体的な建材名が記載されていれば、そこから含有の有無を推定できます。
ステップ2:専門機関による分析検査
記録がない場合や、確実な解体工事を行うためには、専門的なアスベスト検査を依頼することが必須です。作業現場からサンプルを採取し、専門の分析ラボ(顕微鏡分析など)でアスベストの有無を正確に特定します。
アスベスト含有聚楽壁の処理はオルビー環境へ

聚楽壁や砂壁が使われている物件をお持ちの方!肉眼でアスベストの有無が判断できない内装仕上材については、飛散リスクを負う前に、正確な事前分析を行うことが、作業員の健康と周辺環境を守るための第一歩です。
オルビー環境は、関西(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)エリアを中心に日本全国で、迅速かつ信頼性の高いアスベスト分析サービスを提供しています。最短1営業日での分析結果報告や、1検体12,000円からの定性分析など、2024年に10,000件以上の実績を持つ高い専門性で、お客様の法令遵守とリスク管理に貢献します。
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