迫りくる太陽光パネル大量廃棄時代、信頼できるリサイクル業者選定の重要性
2012年のFIT制度導入以降に設置された太陽光パネルは、2030年代には年間50万〜80万トンに達する大量廃棄の局面に差し掛かります。この膨大な量の使用済みパネルの処理は、最終処分場の逼迫や不法投棄といった深刻な社会問題を回避するため、排出事業者にとって避けて通れない法的・社会的責任です。
事業者にとって、この責任を全うできる信頼性と安定性を兼ね備えたリサイクルパートナーを見つけることが、最も重要な課題となっています。
今回の記事では、この大量廃棄時代を見据え、上場企業が持つリサイクル技術や処理体制に焦点を当てて紹介します。
太陽光パネルリサイクルに取り組む上場企業10選

2030年代の大量廃棄時代を見据え、各上場企業はそれぞれの事業特性と技術力を活かし、太陽光パネルのリユース・リサイクル事業に参入しています。ここでは、具体的な取り組みと強みに焦点を当て、主要10社をご紹介します。
企業1:AGC (5201) [東証P]
世界的な板ガラスメーカーであるAGCは、使用済み太陽光パネルのカバーガラスを「ガラスtoガラス」の水平リサイクルへと導く先駆的な取り組みを推進しています。特に、パネルから破砕されていない板状のガラスを回収できれば、それを新たな板ガラスの原料として高比率で再利用可能であることを実証しました。
三菱ケミカルグループの新菱が開発した熱分解技術で分離されたカバーガラス(約24トン)を、横浜テクニカルセンターの建築用型板ガラス製造窯で量産原料として使用することにも成功しています。
この「水平リサイクル」は、ガラス製造におけるCO2排出量削減とバージン材料の使用量節減に貢献し、高品位なマテリアルリサイクルを技術先行型で確立している点が最大の強みです。
企業2:TREホールディングス (9247) [東証P]
TREホールディングスは、グループ全体で太陽光パネルリサイクル・リユース事業に積極的に注力しています。特に福島県相馬市で推進する「相馬サーキュラーパーク構想」では、株式会社千代田マシナリー製の「PVリサイクルハンマー」や色彩選別機を導入し、不純物の混入を最小限に抑えた高品質なガラスカレットの選別を可能にしています。
長野県の信州タケエイでは、油圧式フレーム外し機や手動式カバーガラス剥離装置を導入し、アルミやガラス原料を効率的に回収。さらに、環境省のガイドラインに基づき、中間処理施設に搬入されたパネルの中から、検査に合格したものをリユース品として販売する事業も確立しています。
災害による破損パネルを含む多様な状態のパネルに対応し、リサイクルだけでなくリユースまで視野に入れた多角的な資源循環を推進する、安定した広域処理体制がその強みです。
企業3:JR九州 (9142) [東証P]
JR九州は、三井物産プロジェクトソリューション株式会社と共同で、太陽光パネルリサイクル事業の実現に向けた検討に関する覚書を締結しています。
この共同検討では、九州地域における太陽光パネルの排出量や時期の予測、効率的な搬送ルートの策定、リサイクル設備の比較検討、処理価格や回収される有価物の売却単価、さらには事業全体の経済性評価まで、収集運搬から中間処理を含む事業全般を対象としています。
鉄道インフラを活用した広域からのパネル回収・運搬、そして効率的なリサイクル体制の構築を通じて、環境負荷の低減と持続可能な社会づくりへの貢献を目指しており、そのユニークなアプローチが注目されます。
企業4:三井物産 (8031) [東証P]
グローバルに事業を展開する大手総合商社であり、JR九州グループと連携し、太陽光パネルリサイクル事業の共同検討を推進しています。
商社ならではの幅広い事業ネットワークと、大規模プロジェクトを企画・推進する総合力を活用し、最適なリサイクル設備の選定から、処理後の有価物(再生資源)の効率的な売却ルート開拓、さらには事業全体の経済性を評価する多角的な視点から事業化を目指しています。
太陽光パネルの大量廃棄時代を見据え、効率的かつ経済的なリサイクルシステム構築に向けたサプライチェーン全体の最適化を図っており、その総合的なプロジェクト推進力と国内外のネットワークが強みです。
企業5:ウエストホールディングス (1407) [東証S]
再生可能エネルギー発電所の開発・施工を主力とするウエストホールディングスは、自社が手掛けた全国約69,000カ所の太陽光発電所(出力約300万kW)からのパネル廃棄増加に対応するため、近畿電電輸送株式会社との間で、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクルに関する業務委託基本契約を締結しました。
近畿電電輸送の京都府八幡市にある施設では、太陽光パネルリサイクル設備「ReSola」を導入し、アルミフレーム、ガラス、バックシートなどの素材を100%リサイクルすることを目指しています。
ウエストホールディングスは、自社施工発電所のリパワリングに伴うパネル処理など、上流側企業として環境負荷を抑制した資源再利用を推進しており、建設から廃棄まで一貫したライフサイクルマネジメントに取り組む姿勢が特徴です。
企業6:トクヤマ (4043) [東証P]
トクヤマは、化学メーカーとしての高度な素材技術と知見を背景に、太陽光パネルのリサイクル分野にも参入しています。同社が特に注力しているのは、北海道南幌町の拠点に導入した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発した「低温熱分解設備」です。
この先進技術は、カバーガラスから他の材料を高精度に除去することを可能にし、高品質なガラス部材の回収を実現します。
実際に、この低温熱分解技術で回収されたカバーガラスは、AGCが板ガラスの原料として量産設備に投入した実績があり、TREホールディングスや関西電力との提携を通じて、北海道における水平リサイクルの実現に向けたネットワーク構築や事業モデル検討を推進しています。非破砕型で高品質なガラス回収を可能にする、その高い技術力が大きな特徴です。
企業7:サニックス (4651) [東証S]
環境衛生事業で長年の実績を持つサニックスは、中期経営計画において使用済み太陽光パネルのリサイクル事業への本格参入を掲げています。
まず2024年度に佐賀県の工場に技術実証のための設備を導入する計画であり、将来的には全国に15カ所保有する既存の廃プラスチック処理工場を段階的に活用し、全国展開を目指す方針です。
特に、分離が難しいとされるガラス部分と太陽電池セル部分の効率的な分離技術の開発に注力しており、長年培った廃棄物処理のノウハウを活かし、2030年代半ばの大量廃棄時代を新たな商機と捉え、全国規模でのリサイクルサービス提供を目指す点が注目されます。
企業8:エヌ・ピー・シー (6255) [東証G]
太陽光パネル製造装置メーカーとしての技術的バックグラウンドを持つエヌ・ピー・シーは、太陽光パネルのリサイクルにおける中間処理サービスに特化し、その高精度な分離技術に強みを持っています。
同社が開発した「ホットナイフ分離法®」を搭載したリサイクル装置を愛媛県の松山工場に設置しており、この技術を用いることで、ガラスを割ることなく、他の部材(特に金属)が混じらない状態で完全に分離することを可能にしています。
この手法により、分離したガラスは高品質なリサイクル原料として効率的に活用でき、リサイクル率95.1%(松山工場での処理実績値)という高い水準を達成しています。パネルの解体・分別というリサイクルプロセスにおいて非常に重要な役割を担う専門企業として、その高い分離技術が評価されています。
企業9:ダイセキ環境ソリューション (1712) [東証S]
ダイセキ環境ソリューションは、多種多様な産業廃棄物処理で培った豊富な経験と技術ノウハウを活かし、太陽光モジュールに含まれる有害物質(鉛など)の有無を特定するための調査・分析サービスから提供しており、適切な処理計画の立案をサポートしています。
リユース可能なパネルについては購入希望者とのマッチングを行い、リユースによる費用削減を提案。リサイクルが困難なものについては協力会社との連携により最終処分まで手配するなど、排出事業者のニーズに合わせてリユース、リサイクル、最終処分までをワンストップでサポートする体制を強みとしています。
企業10:オリックス (8591) [東証P]
金融サービスから再生可能エネルギー事業まで多角的に展開するオリックスグループは、グループ会社であるオリックス環境株式会社およびオリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント株式会社(OREM)を通じて、使用済み太陽光パネルの国内販売および再利用(リユース)事業を開始しました。
国内ではリユース商流が未確立という課題に対し、太陽光発電事業者などから買い取った多様なメーカーや型式の使用済みパネルを、機能検査で発電に問題がないことを確認した上で国内で販売しています。
さらにOREMは、O&M(運用・保守)を受託する全国約190カ所の太陽光発電所で、破損パネル交換時にリユースパネルを活用することで、調達コストの削減や発電の早期回復に貢献。廃棄量の削減と資源循環を促進する、独自のバリューチェーンを構築している点が強みです。
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