近年、異常気象の影響で「ゲリラ豪雨」と共に、テニスボール級の巨大な「雹(ひょう)」が降るニュースが増えています。空から降ってくる巨大な氷の塊は、住宅や車に甚大な被害をもたらしますが、特に屋外に露出している「太陽光パネル」への影響は深刻です。
「太陽光パネルは強化ガラスだから大丈夫」と思われがちですが、実は想定外の巨大な雹の前では、パネルが散弾銃で撃たれたような状態になる被害も報告されています。
今回の記事では、雹(ひょう)が太陽光パネルに及ぼす影響、破損時のリスク、万が一の際の保険適用、そして2026年現在の最新の対策について、専門的な視点から詳しく解説します。
そもそも雹(ひょう)とは?発生メカニズムと威力

雹(ひょう)と霰(あられ)は似ていますが、定義上の違いは「粒の大きさ」にあります。
●霰(あられ):直径5mm未満の氷の粒
●雹(ひょう):直径5mm以上の氷の粒
雹(ひょう)が発生する仕組み
雹は、発達した積乱雲(入道雲)の中で発生します。強い上昇気流によって氷の粒が雲の中を上下し、周囲の水分を吸い込みながら凍結を繰り返すことで巨大化します。
驚異の落下速度
雹の落下速度はサイズに比例して増大します。
●直径5mmの場合:時速約36km(ジョギング程度)
●直径50mmの場合:時速約115km(高速道路の車並み)
時速100kmを超える速度でゴルフボール大の氷が激突すれば、強化ガラスであっても耐えきれないほどのエネルギー(衝撃力)が発生します。
太陽光パネルが雹(ひょう)で受ける被害リスク

多くの太陽光パネルは、JIS規格に基づき「直径25mmの鋼球を1.27mの高さから落としても耐えられる」設計(強化ガラス)になっています。しかし、近年の異常気象はその想定を超えてきます。
リスク1:パネル表面のひび割れと「マイクロクラック」
目に見えてガラスが粉々になる被害だけでなく、目視では分かりにくい「マイクロクラック(微細な亀裂)」がセル内部に発生することがあります。これが厄介なのは、直後は発電していても、数ヶ月〜数年かけて徐々に発電効率が低下したり、部分的な発熱(ホットスポット)を招いたりする点です。
リスク2:漏電・火災の危険性
表面の強化ガラスが割れたまま放置すると、雨水がパネル内部に浸入します。これにより絶縁性能が低下し、「漏電」が発生します。漏電はシステムを停止させるだけでなく、最悪の場合、屋根上や架台周辺での発火、火災事故に直結するため、非常に危険です。
リスク3:周辺機器(パワコン等)への直撃
雹はパネルだけでなく、屋外に設置されたパワーコンディショナ(パワコン)や接続箱の筐体にもダメージを与えます。外装が凹むだけでなく、強い衝撃で内部の電子基板に接触不良が起き、システム全体が停止するリスクもあります。
【実例に学ぶ】埼玉・群馬の雹被害(2022年)
2022年6月、埼玉県北部から群馬県にかけて発生した巨大な雹による被害は、業界内でも大きな衝撃を与えました。
この時降った雹はゴルフボール大からテニスボール大に達し、多くの太陽光発電所でパネルが激しく損壊しました。点検にあたった技術者によると、被害は「まるで銃弾を撃ち込まれたような状態」だったといいます。パネルによっては1枚に数十箇所の打撃痕が残り、完全に再起不能となるケースが相次ぎました。
この事例で特筆すべきは、「同じ発電所内でも、割れたパネルと無傷のパネルが混在していた」点です。パネルの角度、ひょうの当たる角度、そして個体差によるわずかな強度の違いが明暗を分けたと考えられています。
雹(ひょう)で太陽光パネルが壊れた時の対処法3選

万が一、雹が降った後に発電量の低下やパネルの異常を見つけた場合は、以下の手順で行動してください。
対処法1:絶対に素手で触らない・屋根に上らない
割れたパネルは漏電している可能性があり、触れると感電する恐れがあります。また、割れたガラスの破片は鋭利で危険です。専門業者が来るまで、遠くから目視で確認するに留めましょう。
対処法2:施工業者・O&M業者へ連絡
まずは設置した施工店、または保守点検(O&M)契約を結んでいる業者に連絡し、現場調査を依頼します。目視では分からない損傷を「サーモグラフィ」や「IVカーブ測定」で特定してもらう必要があります。
対処法3:保険会社へ連絡
自然災害による被害は、保険の対象となる可能性が高いです。次項で詳しく解説します。
雹被害に保険は適用される?
多くの場合、雹による被害は保険や補償の対象となりますが、契約内容により異なります。
種類1:火災保険(建物付属設備)
住宅用の場合、火災保険の「風災・雹災・雪災」項目でカバーされるのが一般的です。
種類2:動産総合保険
産業用(野立て)の場合、多くの事業者が加入している動産総合保険で補償されます。
種類3:メーカー保証
注意が必要なのは、メーカーの「製品保証」や「出力保証」は、あくまで製造上の欠陥を保証するものであり、雹などの自然災害は保証対象外となるケースがほとんどです。
被害に遭った際は、被害箇所の写真を撮影し、業者から「落雷や雹による損傷である」という証明(写真付き報告書)をもらうことで、保険金請求がスムーズになります。
雹被害から太陽光パネルを守るための対策

雹(ひょう)自体を止めることはできませんが、被害を最小限にするための備えは可能です。
対策1:定期点検(O&M)の実施
日頃からボルトの緩みなどを点検しておくことで、衝撃を受けた際のパネルの脱落を防ぎます。また、微細な損傷を早期発見することで火災リスクを低減できます。
対策2:適切な角度設計
一般的に、積雪地帯のように角度を急(30度以上)にして設置すると、雹が直撃するエネルギーを「受け流す(斜めに当たる)」ことができ、割れるリスクが低減されるという説があります。
対策3:信頼できるメーカーの選定
JIS規格を上回る独自の耐衝撃テスト(雹試験)をクリアしているメーカーを選択することも、長期運用の安心に繋がります。
雹で破損した太陽光パネルの処分は「オルビー環境」へ

雹(ひょう)による被害は、時にシステムの全損を招く恐れがあります。2026年現在、気候変動により巨大な雹の発生頻度は高まっており、もはや「他人事」ではありません。日頃の発電量チェックと、万が一の際の保険内容の確認、そして信頼できる保守点検パートナーとの連携が、太陽光発電事業を守るための生命線となります。
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