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2025.12.17
PCB

PCB含有塗膜(廃塗膜・塗膜くず)のリスクとは?適正処理までの流れを徹底解説

PCB含有塗膜・塗料の見落としが招く法的リスク

「古い橋梁やタンクの塗り替えを予定しているが、塗料にPCBが含まれているかもしれない」
「解体工事で出た塗膜くずからPCBが検出された。どう処理すればいいのか?」

1960年代から1970年代にかけて建設・塗装された鋼構造物をお持ちの事業者様にとって、PCB(ポリ塩化ビフェニル)含有塗膜の問題は、避けて通れない重大な課題です。

低濃度PCB廃棄物に分類されるPCB含有塗膜は、通常の産業廃棄物として処分することは法律で禁じられており、2027年3月31日という絶対的な処理期限が迫っています。

今回の記事では、PCBが塗料に使用された背景から、調査・分析の手順、そして行政処分を避けるための適正な処分フローまで、「PCB 塗膜」「PCB 塗料」の核心部分をわかりやすく解説します。

PCB含有塗膜とは?なぜ塗料にPCBが使われたのか

PCB含有塗膜とは、可塑剤(塗料に柔軟性や耐久性を持たせる添加剤)としてPCBが混ぜられた塗料が乾燥し、固まったものです。

1960年代半ばから1970年代半ばにかけて、屋外の厳しい環境にさらされる鋼構造物の防食性を高めるため、塩化ゴム系塗料などに好んでPCBが添加されました。

しかし、カネミ油症事件などをきっかけにPCBの毒性が社会問題化し、1972年(昭和47年)に製造が中止、1974年には使用が全面的に禁止されました。

PCB含有塗膜の主な調査対象施設

特に1966年〜1974年に建設、または大規模な塗り替えが行われた以下の屋外施設は、調査の重点対象となります。

・橋梁: 道路橋、鉄道橋、歩道橋など
・洞門: トンネルの出入り口付近
・水工施設: ダム、水門、排水機場の鋼構造物
・貯蔵タンク: 石油タンク、ガス貯蔵タンク
・船舶: 古い鋼鉄製の船体

廃塗膜・塗膜くずのPCB濃度による区分と期限

PCB含有塗膜は、含まれるPCBの濃度(mg/kg)によって「低濃度」と「高濃度」に区分され、それぞれ処分先と期限が異なります。

区分PCB濃度(含有量)処分期限処分先
高濃度PCB廃棄物5,000mg/kg超終了(原則)JESCO(日本環境安全事業)
低濃度PCB廃棄物0.5mg/kg超 〜 5,000mg/kg以下2027年3月31日環境大臣認定施設・自治体許可施設

多くの塗膜くずは「低濃度」に該当しますが、0.5mg/kgを超えた時点で特別管理産業廃棄物となるため、通常の不燃ゴミや産廃として捨てると不法投棄と見なされる恐れがあります。

PCB含有塗膜の調査・判別方法:3つのステップ

現場の塗膜がPCBを含んでいるかどうかは、見た目では判断できません。環境省のガイドラインに基づき、以下のステップで調査を進めます。

ステップ1:事前調査(机上調査)

当時の設計図面、施工記録、塗料の仕様書などを確認します。「塩化ゴム系塗料」の記載があるか、または施工時期が1966年〜1974年であれば、PCB含有の疑いが極めて高いと判断されます。

ステップ2:塗膜のサンプリング

記録が残っていない場合、実際に現場で塗膜を剥がして試料を採取します。サンプリング時には、PCBや塗料に含まれる鉛・クロムなどの有害物質が飛散しないよう、防護具の着用や湿式作業、養生が必須です。

ステップ3:分析試験

採取したサンプルを専門の分析機関へ送り、PCB含有量を測定します。ここで「0.5mg/kg」という基準値を超えるかどうかが確定します。

PCB含有塗膜を処分するまでの具体的な流れ

PCBが含まれていると判定された場合、以下の手順で適正処理を進める必要があります。

手順1:特別管理産業廃棄物としての保管

除去した塗膜くずは、ドラム缶などの密閉容器に入れ、「飛散・流出・地下浸透」を防ぐための専用の保管場所に置かなければなりません。また、特別管理産業廃棄物管理責任者の設置と、法定の掲示板の設置が義務付けられています。

手順2:行政への届出

PCB特別措置法に基づき、保管状況を都道府県知事等へ届け出ます。

手順3:除去・剥離工事

鋼構造物から塗膜を除去する際は、粉塵が舞う「ブラスト工法」は避け、剥離剤を用いた「湿式工法」が推奨されます。これは作業員のばく露防止と、周辺環境への汚染防止のためです。

手順4:収集運搬・処分

環境大臣の認定を受けた処理業者と契約を結びます。塗膜にはPCBだけでなく鉛やクロムが含まれていることが多いため、それらを併せて処理できる施設を選ぶことがポイントです。

【重要】なぜ「早めの処分」が必要なのか?

低濃度PCBの処理期限は2027年3月31日ですが、ギリギリの対応には大きなリスクが伴います。

駆け込み需要によるパンク

期限直前は全国の事業者が一斉に動くため、分析機関や処理施設の予約が取れなくなる恐れがあります。

除去工事の長期化

橋梁やダムの剥離工事は天候や規模に左右され、着工から完了まで1年以上かかるケースも珍しくありません。

法的ペナルティ

期限を過ぎて保管を続けた場合、行政からの改善命令や、最悪の場合は刑事罰(懲役・罰金)の対象となります。

PCB含有塗膜の処理はオルビー環境にご相談ください

PCB含有塗膜(廃塗膜・塗膜くず)の処理は、単なる廃棄物処分ではなく、高度な分析、法令遵守、そして安全な除去工事がセットになった専門的な対応が必要です。特に屋外インフラの維持管理において、PCBの見落としは企業の社会的信用に直結します。

オルビー環境は、大阪・関西を中心に日本全国エリアで、絶縁油のサンプリング分析から煩雑な行政届出書類の作成支援、そして環境大臣認定施設への確実な処分まで、すべてをワンストップで対応しております。

高額になりがちな処理費用についても、国や自治体の助成金制度活用やルート回収を工夫し、少しでも安く処理できるようコスト削減に尽力しています。

低濃度PCBの処理期限が目前に迫る今、塗膜のリスクを確実にクリアし、安心して事業を継続するために、まずはお気軽にオルビー環境へご相談ください。

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