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2025.12.17
PCB

カネミ油症事件をわかりやすく解説|PCBが生んだ食中毒の悲劇と今なお続く課題

日本最大級の食品公害「カネミ油症事件」とは?PCB混入が招いた終わらない惨劇

「カネミ油症(かねみゆしょう)事件」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?1968年(昭和43年)に発生したこの事件は、日本の公害・食中毒史上でも類を見ない大規模な「食品公害」です。

原因となったのは、かつて夢の化学物質と称されたPCB(ポリ塩化ビフェニル)でした。事件から55年以上が経過した今もなお、多くの被害者が後遺症に苦しみ、法的・医療的な救済を求めて戦い続けています。

今回の記事では、カネミ油症事件の概要、原因、症状、そして現代におけるPCB管理の重要性について、専門知識がない方にもわかりやすく解説します。

カネミ油症事件とは?発生の経緯をわかりやすく

カネミ油症事件は、1968年10月に西日本一帯で発生した大規模な食中毒事件です。

カネミ油症事件のきっかけは「ライスオイル」の汚染

福岡県北九州市にある「カネミ倉庫」という企業が製造した「ライスオイル(米ぬか油)」を摂取した人々に、次々と奇妙な健康被害が現れました。

当時、ライスオイルは健康に良いとして広く販売されており、一般家庭だけでなく学校給食や飲食店でも使用されていました。その結果、被害は福岡・長崎・広島を中心に広範囲に及んだのです。

なぜ有害物質が混入したのか?

原因は、ライスオイルを製造する際の「脱臭工程」にありました。油の嫌な臭いを取り除くために高温で加熱する際、その熱を伝えるための「熱媒体」としてカネクロール(PCBの商品名)という化学物質が使われていました。

製造装置の配管にできた微細な穴から、このPCBが食用油の中に漏れ出し、高濃度の汚染油が市場に出回ってしまいました。

原因物質「PCB」と「ダイオキシン類」の恐怖

PCB廃棄物

事件当初、原因はPCBそのものだと考えられていました。しかし、その後の研究でさらに恐ろしい事実が判明します。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)とは?

PCBは、電気絶縁性が高く燃えにくいという性質から、変圧器(トランス)やコンデンサ、蛍光灯の安定器などに広く使われていた化学物質です。しかし、一度体内に取り込まれると脂肪に溜まりやすく、分解されにくいという性質(蓄積性)を持っています。

加熱によって生まれた「ダイオキシン類」

製造工程でPCBが加熱された際、化学反応によってPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)などのダイオキシン類が発生しました。

現在の研究では、カネミ油症の主原因はこのダイオキシン類による毒性であり、PCBとの複合的な中毒症状であることがわかっています。ダイオキシン類は、ごく微量でも毒性が極めて強く、発がん性や生殖毒性を持つことで知られています。

「病気のデパート」と呼ばれるPCBの多様な症状

カネミ油症の被害は一過性のものではありませんでした。その症状の多様さから、故・原田正純医師は「病気のデパート」と表現したほどです。

特徴的な症状

皮膚症状

全身の吹き出物(塩素座瘡)、皮膚や爪の色素沈着(黒ずみ)、激しい目やになど。

全身症状

激しい倦怠感(体がだるい)、しびれ感、食欲不振、関節痛、頭痛など。

内臓・神経

肝機能障害、ホルモン異常、免疫力の低下など。

次世代への影響「黒い赤ちゃん」

最も悲劇的だったのは、汚染された油を摂取した母親から生まれた赤ちゃんへの影響です。皮膚に色素沈着がある、いわゆる「黒い赤ちゃん」が誕生した事例もあり、胎盤や母乳を通じてPCBやダイオキシン類が子供に移行することが明らかになりました。これは、公害が世代を超えて連鎖することを示す衝撃的な出来事でした。

カネミ油症事件に関する救済と認定をめぐる現代の課題

事件発生から半世紀以上が過ぎましたが、救済は決して十分とは言えません。

厳しい認定基準

カネミ油症患者として認定されるには、国が定めた診断基準をクリアする必要があります。しかし、現在は「血液中のダイオキシン類濃度」が重視されており、事件から時間が経過して血中濃度が下がった被害者が救済から漏れる「未認定問題」が発生しています。

同居家族の認定

2012年には法改正が行われ、油症発生当時に認定患者と同居していた家族も、一定の条件(油を摂取し、現在も症状があるなど)を満たせば認定対象となりました。しかし、依然として多くの潜在的な被害者が支援を必要としています。

カネミ油症事件から学ぶべき教訓「PCBの適正管理」

カネミ油症事件は、民間企業の過失と、初期対応を誤った行政の責任が重なり合った人災です。この悲劇を繰り返さないために、現在、私たちは厳しいルールの中でPCBを管理しています。

なぜ今もPCBが問題なのか?

事件後、PCBの製造は禁止されましたが、古いビルや工場のトランス、コンデンサ、蛍光灯の安定器などには、今もなおPCBが含まれた機器が残っています。これらが適切に処理されずに放置されたり、漏洩したりすれば、第二のカネミ油症が起こらないとも限りません。

処理期限の遵守

現在、法律(PCB特措法)によって、すべてのPCB廃棄物は定められた期限までに処分することが義務付けられています。低濃度PCBについては2027年3月31日が処理の最終期限です。

カネミ油症の悲劇を繰り返さないために|PCB処理はオルビー環境へ

カネミ油症事件は、単なる過去の食中毒事件ではありません。化学物質がひとたび環境や人体に放出されると、いかに長期間にわたって取り返しのつかない被害をもたらすかを教えてくれる、現在進行形の公害です。

今でもPCB含有の機器は数多く残っているため、施設内に残る古い電気機器を調査し、適切に処分することは、カネミ油症のような悲劇を二度と起こさないための社会的責任です。

オルビー環境は、大阪・関西エリアを中心に、カネミ油症の原因となったPCBの適正処理をトータルでサポートしております。

煩雑な行政への届出書類作成から、絶縁油の分析、安全な搬出、環境大臣認定施設での処分まで、すべてワンストップで対応しています。自治体の助成金制度の活用や、効率的なルート回収による運搬費削減など、お客様の負担を抑える提案も積極的に行っています。

PCB廃棄物を早く、安く、安心して処理したい方は、まずはお気軽にオルビー環境へご相談ください。

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