見過ごせない太陽光パネルの「割れ」問題のリスク
クリーンエネルギーとして普及が進む太陽光発電ですが、屋外設置の宿命として「パネルの破損、特に割れ」は避けられないリスクです。多くは「頑丈」と考えがちですが、実際は様々な原因で割れやヒビが発生し、肉眼では見えない「マイクロクラック」でさえ、発電量低下や火災・感電といった深刻なトラブルに発展する可能性があります。
パネルの割れは、経済的損失や安全性への脅威を直接引き起こしますが、適切な知識と対策があれば、これらのリスクを最小限に抑え、長期安定発電は可能です。
今回の記事では、太陽光パネルの割れ・ヒビ割れに焦点を当て、その具体的な原因、放置した場合の影響、効果的な予防策、破損時の初期対応、保証・保険制度、修理・交換プロセスまでを網羅的に解説します。
太陽光パネルの「割れ・ヒビ割れ」の主な原因を徹底解明

太陽光パネルの破損は、単一の原因でなく、外部からの衝撃、パネル内部の問題、そして設置や輸送過程における要因が複合的に絡み合って発生することがほとんどです。ここでは、それぞれの原因を具体的に見ていきましょう。
パターン1:パネルの外側から襲いかかる「外的要因」による破損
屋外に常に晒されている太陽光パネルにとって、外部からの物理的な衝撃は避けられない脅威です。
飛来物による直接的な衝撃
最も一般的な原因の一つが、外部からの飛来物による衝突です。強風で飛ばされる木の枝、小石、屋根瓦、さらにはゴルフ場近くではゴルフボールなどがパネルに直接ぶつかり、強化ガラスの表面に割れやヒビを生じさせます。
特にカラスなどの鳥類が石や硬い木の実を上空から落とす「投石被害」は、その賢さゆえに同一箇所に繰り返し被害をもたらすことがあり、深刻な問題となっています。人によるいたずらや、設置・メンテナンス作業中に誤って工具などを落下させてしまうケースも考えられます。
強風・台風
強風は飛来物をもたらすだけでなく、パネル自体を激しく揺さぶります。この揺れによって、パネルを固定するフレームや架台への過度な負荷、またはパネル自体のたわみが生じ、局所的な応力集中でガラスにヒビ割れや破損を引き起こすことがあります。
積雪・凍結
大量の積雪はパネル全体に大きな圧力をかけます。特に積雪が不均一な場合や、屋根からの落雪がパネルに直撃するような状況では、一点に集中した圧力によってパネルが破損しやすくなります。
気温の低い地域では、パネル内部に浸入した水分が凍結・融解を繰り返すことで、微細な膨張・収縮が起こり、長期的にヒビ割れの原因となることがあります。
地震
激しい地震の揺れは、パネルと架台の接合部にねじれや歪みを生じさせ、ガラスのヒビ割れや破損に繋がります。さらに、地盤の沈下や液状化が発生した場合には、架台そのものが傾き、パネルに応力が集中して割れるケースも見られます。
パネル裏側からの予期せぬ攻撃
太陽光パネルの表面は強化ガラスで保護されていますが、裏面は比較的衝撃に弱い構造をしています。
特に野立ての太陽光発電所では、防草対策が不十分な場合、生命力の強い雑草や竹、笹などがパネルの裏側から成長し、その硬い先端がバックシートやガラスを突き破って破損を引き起こすことがあります。
パターン2:内部で進行する「内的要因」と「経年劣化」による破損
パネルの材料そのものや、内部で起こる変化、そして長年の使用に伴う劣化も、破損の大きな原因となります。
ホットスポットの発生
太陽光パネルの一部に鳥のフンや落ち葉などの汚れが長時間付着して影ができたり、製造時の初期不良(はんだ付け不良など)やセルの一部が断線・劣化したりすることで、その部分だけが発電できず、電気抵抗が非常に大きくなる「ホットスポット」が発生します。
このホットスポットは異常な高温状態となり、最悪の場合、バックシートの焼損やガラスの熱割れを引き起こし、さらには火災の原因にも繋がりかねません。
経年劣化による材料疲労
太陽光パネルは長期的に屋外で使用されるため、紫外線、熱、湿気、風雨などに晒され続けることで、構成材料が徐々に劣化します。
バックシートの劣化
パネル裏面のバックシートが劣化してひび割れや剥がれが生じると、内部のセルが水分や空気に直接晒され、発電効率の低下やセルの破損を招きます。
封止材の劣化と水分浸入
セルを保護する封止材(EVA樹脂など)が経年劣化により変色(黄変)したり、密着性が低下したりすると、パネル内部に水分が浸入しやすくなります。この水分がセルの腐食や電極のショートを引き起こし、発電不良やヒビ割れの原因となります。
フレームの劣化
アルミニウム製のフレームも、長年の風雨や塩害により腐食が進み、強度が低下することで、パネル本体への負荷が増大し、ヒビ割れのリスクを高めることがあります。
太陽光パネルの「割れ・ヒビ割れ」が引き起こす深刻な影響

パネルに割れやヒビが発生した場合、単なる見た目の問題に留まらず、発電性能、安全性、そして経済性に多大な影響を及ぼします。
影響1:発電量の著しい低下と経済的損失
割れたセルは発電能力を失い、さらに複数のセルが直列に繋がっているため、一部の破損でも回路全体の発電量が大幅に減少します。広範囲の割れやマイクロクラックは、全体の発電量を大きく引き下げ、売電収入や自家消費メリットの損失に直結します。
目に見えないヒビ割れも、水分侵入や内部腐食を進行させ、徐々に発電量が低下し、深刻な経済的損失を招くことがあります。
影響2:火災・感電リスクの増大と安全性への脅威
パネルの割れや内部断線によるホットスポットは、異常な高温状態となり、パネル樹脂の焼損や熱割れ、最終的には発火に至る危険性があります。これは火災の原因となり、周囲に被害を及ぼす可能性があります。
また、ガラス割れやバックシートの破損で内部回路が雨水に晒されると漏電が発生し、感電事故のリスクが増大します。漏電はシステムの故障にも繋がり、安全管理上、見過ごせません。
影響3:構造的強度の低下と周囲への影響
一度ガラスにヒビが入ると、外部からの衝撃に対する耐久性が著しく低下し、わずかな衝撃や強風でもヒビが広がり、パネル全体が崩壊する可能性があります。
完全に割れたパネルは、強風や振動でガラス片が飛散する危険性があり、屋根設置の場合は人や車、設備への二次被害を引き起こすリスクがあります。野立ての場合も、周囲の農作物や設備への被害、近隣住民への迷惑が懸念されます。
太陽光パネルの「割れ」から守る!具体的な予防策3選

パネルの割れを防ぐための予防策と、万が一破損してしまった場合の迅速かつ適切な対応を知っておくことが、長期的な安心のために非常に重要です。
予防策1:定期的な点検と清掃
パネル表面のガラス、フレーム、接続箱、ケーブルに異常がないか、定期的に目視で確認しましょう。特に強風や積雪の後、鳥のフンや落ち葉の付着がないかを確認し、ホットスポットの原因となる汚れは速やかに清掃します。高所作業や危険な場所での清掃は、専門業者に依頼することが安全です。
予防策2:周辺環境の整備
パネルの近くに飛来物となり得るもの(鉢植え、折れやすい木の枝、ゴミなど)を置かないようにし、屋根設置の場合は隣家からの飛来物にも注意が必要です。
野立ての場合は、パネル裏側からの破損を防ぐため、定期的な草刈りや防草シートの設置、砂利敷きなどで雑草の成長を抑制しましょう。カラスなどの投石被害が頻繁な場合は、テグスや防鳥ネット(発電効率に影響しない範囲で)の設置、音波や光で鳥を寄せ付けない対策も検討しますが、カラスは賢いため複合的な対策が推奨されます。
予防策3:施工品質の確保
設置工事中のマイクロクラック発生を防ぐため、実績と技術力のある信頼できる施工業者を選ぶことが極めて重要です。パネルの取り扱い方、架台への固定方法が適切か、地域特性(積雪量、風速)に合った強度のある架台が選定されているかなどを確認しましょう。
破損してしまった場合の初期対応と修理・交換プロセス

残念ながらパネルが破損してしまった場合、迅速かつ適切な対応が二次被害を防ぎ、安全な復旧に繋がります。
ステップ1:安全の確保
まず、感電リスクを避けるため、パワーコンディショナーを停止させ発電を止めます。濡れた状態での作業や、素手での接触は絶対に避け、周囲への破片飛散や感電の危険があるため、破損箇所に近づかないよう周囲を立ち入り禁止にします。
ステップ2:状況の記録と専門業者への連絡
デジタルカメラなどで破損箇所を複数枚撮影し、状況を記録します。いつ、どのような原因で破損したか(飛来物、自然災害など)を明確にすることで、後の保険申請や業者とのやり取りがスムーズになります。
自力での修理は危険であり、さらなるトラブルを招く可能性があるため、必ず太陽光発電設備の専門業者に連絡し、点検と修理・交換を依頼しましょう。
ステップ3:保証・保険の確認と申請
製造時の初期不良による破損であればメーカー保証が適用される可能性がありますが、飛来物や自然災害による物理的な破損は保証対象外となることが多いです。
そのため、加入している火災保険や動産保険の補償内容を確認し、補償対象となる場合は保険会社に連絡して申請手続きを行いましょう。写真や業者からの見積もりが提出書類として求められます。
太陽光パネルの「割れ」に関する保証とアフターサービス

万が一の事態に備え、太陽光パネルに適用される保証や保険制度について正しく理解しておくことが、長期的な安心に繋がります。
メーカー保証と対象範囲
太陽光パネルには「製品保証」と「出力保証」があります。製品保証は製造不良が対象で10〜25年が一般的です。
マイクロクラックが原因の割れは対象となる可能性がありますが、飛来物や自然災害によるガラス割れは通常対象外のケースが多いです。出力保証は発電性能低下時に適用されますが、破損との因果関係証明が重要です。
損害保険(火災保険・動産保険)の活用
メーカー保証外の外的要因による破損に備え、損害保険加入が不可欠です。住宅用は火災保険で自然災害や飛来物衝突が補償対象か確認しましょう。地震は別途地震保険が必要です。
産業用やその他リスクには動産保険が一般的ですので、契約約款を詳細に確認し、補償範囲を把握した後に、設備に合った保険を選びましょう。
専門業者によるアフターサービスと長期メンテナンス契約
保証や保険でカバーできないトラブルや予防のため、専門業者との長期メンテナンス契約が有効です。定期的な目視点検、EL検査等でマイクロクラックや不具合を早期発見・対応してもらえます。
契約により迅速な修理・交換が期待でき、発電ロスを最小限に抑えられ、発電量レポートで健全性を把握し、適切な対策を講じられます。
太陽光パネルの「割れ」リスクに備え、オルビー環境で安心を

太陽光パネルの「割れ」は、外的・内的要因、設置リスクなど多岐にわたり、発電量低下だけでなく火災・感電リスクも伴います。これらのリスクを抑え、持続可能な発電ライフを送るには、適切な予防策、定期点検、保証・保険活用が不可欠です。
万一パネルが破損または寿命で撤去が必要となった際の適正処理・リサイクルは、オルビー環境へお任せください。
オルビー環境は、太陽光パネルの解体・取り外しから運搬、リサイクルまたは適正処分までワンストップで対応可能です。
関西(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)を中心に全国対応ですので、太陽光発電事業の適切な「出口戦略」は、ぜひオルビー環境へご相談ください。
 
                                    


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