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2025.10.17
アスベスト

日本の石綿(アスベスト)被害はなぜ続く? 英国との国際比較から見えてくる未来の危機

ピークはまだ先?日本のアスベスト被害を読み解く「潜伏期間」と「英国の教訓」

令和6年(2024年)の中皮腫死亡者数が1,562名と発表されました。中皮腫は、アスベスト(石綿)を吸入した結果、数十年後に発症する悪性度の高いがんです。この「数十年」という極めて長い潜伏期間こそが、現在の日本が直面しているアスベスト被害の特殊性と深刻さを示しています。

今回の記事では、日本の死亡者数が高止まりする根本的なメカニズム、特に「潜伏期間の不気味な特徴」を深掘りし、アスベスト使用の歴史が先行した英国との国際比較を通じて、日本の将来的な被害予測と、私たちが今取り組むべき対策の重要性を解説します。

「今」の死亡者は「昔」の暴露!?潜伏期間の不気味な特徴

アスベスト分析

統計に見る中皮腫の「急増」傾向

中皮腫による死亡者数の統計が本格的に取られ始めた1995年当時、年間死亡者数は約500人でした。しかし、その後の四半世紀で死亡者数は約3倍の1,500人台へと急増しています。これは、アスベストによる疾患が今まさに広がりを見せていることを示す明確な証拠です。

この増加の背景にあるのが、中皮腫が持つ特異な時間差、すなわち「潜伏期間の長さ」です。

高度経済成長期の負の遺産

日本でアスベストの輸入量が急増し、大量に使用されたのは、1960年代の高度経済成長期でした。特に1960年代から1970年代にかけて、耐火性・断熱性に優れるアスベストは、吹き付け材やスレートなどとして建築物に幅広く利用されました。

中皮腫の潜伏期間は一般に「30年、40年、あるいは50年」とも言われます。

1960年代にアスベストに無防備にさらされた人々が、2020年代の今になって次々と発症・死亡しているのが現状です。「昔の暴露が今の病気を生む」という、アスベスト関連疾患の非常に不気味な特徴が、現在の死亡者数の高止まりを招いています。

※情報参照元:都道府県(特別区-指定都市再掲)別にみた中皮腫による死亡数の年次推移(平成7年~令和6年)人口動態統計(確定数)よりhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/chuuhisyu24/dl/R06chuuhisyu.pdf

英国との国際比較!アスベストが示す日本の「未来の危機」

日本の石綿(アスベスト)被害はなぜ続く? 英国との国際比較から見えてくる未来の危機

日本の今後のアスベスト被害の動向を予測する上で、英国のデータは極めて重要な教訓となります。

英国の歴史とピークアウト

英国では、日本よりも約20年早い1940年代〜1950年代からアスベストの大量使用が始まりました。その結果、中皮腫の発症と死亡の時期も日本よりも早く訪れています。

英国の中皮腫死亡者数は1970年代から増加し始め、ピーク時には年間2,500人を超える水準に達しました。近年になりようやく微減傾向が見られ、「ピークアウトしたのではないか」という議論が始まっていますが、その被害は非常に長期にわたっています。

日本の輸入量と被害予測

英国の事例と日本の輸入量を比較すると、日本の将来的なリスクの大きさが浮き彫りになります。

日本が輸入したアスベストの総量は、英国の約1.6倍に達すると推計されています。

この輸入量の差を考えると、日本の被害が英国のピーク水準(2,500人超)に達するか、あるいはそれを超える可能性すら指摘されています。現在の死亡者数1,562名にとどまることは、疫学的にみて考えにくい状況です。

被害のピークは、アスベスト使用の開始時期が英国より遅かった日本において、2030年代に入ってから到来すると広く予想されています。

※情報参照元:平成20年度 独立行政法人環境再生保全機構請負業務報告書https://www.erca.go.jp/asbestos/chousa/pdf/h20/all.pdf

将来の被害を最小限にするために!残されたアスベスト対策

アスベスト分析

被害のピークがこれから訪れるという予測の下、行政や企業が取り組んでいるのが、残存アスベスト対策の強化です。

現在の死亡者は過去の暴露によるものですが、将来の被害を防ぐためには、今なお私たちの身の回りにあるアスベストを適切に管理・除去しなければなりません。

危険な残存アスベスト建材

アスベストが含有された建材は、未だに多くの建築物や工作物に残されています。特に危険度が高いとされるのが以下の建材です。

吹き付け材

火災時の断熱・耐火のために、体育館や工場などの鉄骨に吹き付けられたもので、アスベストが露出・飛散しやすく、最も危険視されています。

スレート材

アスベスト含有建材の代表格であり、倉庫や工場の屋根・外壁に大量に使用されています。

工作物

近年、発電機や配管などの建築物以外の工作物にもアスベストが使用されていることが問題視され、これらの調査も義務化されつつあります。

残存アスベストの安全処理は「オルビー環境」にお任せ

アスベスト分析(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山))

令和6年の中皮腫死亡者数1,562名という数字は、被害のピークがこれから到来するという日本の深刻な現実を映し出しています。英国との比較からも、今後さらなる被害拡大が懸念される中、過去の暴露による健康被害を最小限に食い止めるには、残された吹き付け材やスレート材などの残存アスベストを適切に特定・管理することが急務です。

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