太陽光パネルの火災リスク、その真実とは?
「太陽光パネルで火災が起きた」「消火活動に支障が出た」といったニュースを目にして、太陽光発電への投資や導入に不安を感じている方は少なくないでしょう。特に、大規模なメガソーラー火災や住宅火災の報道は、太陽光パネルがまるで「危険な発火装置」であるかのような印象を与えかねません。
しかし、そのリスクは一体どれくらいのものなのでしょうか?
今回の記事では、太陽光パネルの火災に関する真実を、専門家の視点から分かりやすく解説します。過去の具体的な事例から火災の原因、そして万が一の火災発生時に取るべき安全対策まで、あなたが知っておくべき情報を網羅的にまとめました。
太陽光パネルが起因となる火災事例と件数

太陽光パネルに起因する火災は、決してゼロではありません。ここでは、過去に発生した事例とその件数について見ていきましょう。
メガソーラーでの火災事例:鹿児島県伊佐市での事故
2024年3月、鹿児島県伊佐市にあるメガソーラー発電所の蓄電設備で火災が発生しました。この事故では、消防隊員が駆けつけて消火活動にあたろうとした際、建屋内で爆発が起き、消防隊員が負傷する事態となりました。
火災の原因は調査中とされていますが、火災時も発電が継続される太陽光発電施設特有のリスクが浮き彫りになった事例です。
※情報参照元:https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04458/?ST=msb
住宅用システムでの火災事例:消費者庁の調査報告書から
消費者庁は、住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故に関する調査報告書を公表しています。この報告書には、具体的な火災事例が複数記載されています。
例えば、ある事例では、住宅の屋根に設置された太陽光パネルのモジュールから出火し、屋根裏に延焼したケースがあります。また、別の事例では、ケーブルの施工不良が原因で電線がショートし、火災に発展したことが推定されています。
消費者庁の事故情報データバンクによると、2008年から2024年の間に報告された太陽光パネルの火災件数は374件です。
この数字だけを見ると多いように感じるかもしれませんが、全国の設置件数と比較すると、火災発生率は非常に低いと言えます。
※情報参照元:https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_012/
太陽光パネルから火災が起きる主な原因

火災は様々な要因で発生しますが、太陽光パネルに起因する場合は、主に以下の4つの原因が考えられます。
原因1:製品の不具合
特に特定の時期に製造された旧型のパネルでは、モジュール内部の耐熱性が不足しており、異常発熱により出火するケースが報告されています。
原因2:施工不良
ケーブルの配線ミスや接続不良は、漏電や短絡(ショート)の原因となります。ケーブルが設備に挟み込まれたり、不適切な接続がされたりすると、発熱して発火するリスクが高まります。
原因3:経年劣化
高品質なパネルであっても、時間の経過とともに劣化は避けられません。モジュール内部の配線の腐食や接続部分の劣化は、アーク放電(火花)を引き起こし、火災の原因となる可能性があります。
原因4:自然災害
地震による設備の損傷、台風による飛来物の衝突、落雷による過電流なども、火災の原因となります。特に、地滑りなどで設備が損傷し、ケーブルがショートするといった事例も報告されています。
太陽光パネル火災、なぜ放水できない?消防活動の注意点

「太陽光パネルが設置されていると、火災時に放水できない」という情報が拡散されることがありますが、これは正確ではありません。消防庁は、太陽光パネル火災に対しても「水で消火可能」と明言しています。しかし、通常の火災とは異なる、いくつかの注意点が存在します。
※情報参照元:https://mainichi.jp/articles/20220113/k00/00m/040/080000c
注意点1:感電の危険性が高い
太陽光パネルは、日射を受けている限り常に発電し続けます。そのため、パネルが設置された建物や設備では、火災時も電気が流れ続けており、消火活動には感電のリスクが伴います。特に、水を伝って感電する可能性や、破損したケーブルに不用意に触れることによる感電リスクが高まります。
注意点2:消防車の進入が困難なケースもある
大規模なメガソーラー発電所の場合、パネルが広範囲に密集して設置されているため、消防車が発電所の中央まで進入できない場合があります。この場合、放水距離が届かず、消火活動が難航することがあります。
太陽光パネル火災を防ぐための予防策

火災リスクをゼロにすることは難しいですが、以下の予防策を講じることで、そのリスクを大幅に低減させることが可能です。
予防策1:定期メンテナンスの徹底
経年劣化や予期せぬ不具合を早期に発見するためには、定期的な専門家による点検が不可欠です。
予防策2:信頼できるメーカー・業者の選定
過去の火災事例がないか、製品の安全性が高いか、そして施工実績が豊富で技術力の高い業者を選びましょう。
予防策3:可燃物の除去と自然災害対策
発電所の周辺に草木などの可燃物を置かないようにし、定期的な草刈りを実施します。また、落雷対策として避雷針を設置したり、地盤条件の良い場所を選んだりすることも重要です。
火災リスクは正しく理解し、備えあれば憂いなし

太陽光パネルの火災は、特定の状況下で起こりうるリスクですが、全てのパネルが危険なわけではありません。大切なのは、偏った情報に惑わされず、リスクを正しく理解し、適切な予防策を講じることです。
太陽光発電への投資や導入を検討する際は、ただ火災リスクを恐れるのではなく、万全の対策を講じることで、安心してその恩恵を受けられます。
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