アスベスト調査、誰が「どこまで」調査できる?
建築物の解体や改修工事に加え、電柱、橋梁、プラントなど「工作物」のアスベスト調査が、今、新たな局面を迎えています。2023年10月1日の法改正によりアスベスト調査を行う資格制度が専門化されましたが、さらに2026年1月1日以降は、一部の工作物のアスベスト調査において、特定の専門資格が義務化されることになります。
これまでは「石綿含有建材調査者」として一括りにされがちだった調査者の役割が、この新義務によって「建築物」と「工作物」といった調査対象別に明確に区分されます。この新たな調査範囲と必須資格を正しく理解していないと、意図せず法令違反となるリスクが高まります。
今回の記事では、2026年1月1日以降に義務化される「工作物」アスベスト調査の新義務に焦点を当て、どの資格を持つ者が、どのような調査を行うべきなのか、その全貌と注意点を徹底解説します。
2026年1月1日義務化!一部の工作物アスベスト調査は「工作物石綿事前調査者」が必須に

今回の資格制度見直しは、アスベスト調査の質の確保と、調査対象の拡大という背景があります。2021年4月からは、建築物の解体・改修工事におけるアスベスト事前調査が義務化され、その結果を労働基準監督署に報告する制度が始まりました。これによりアスベスト調査の重要性は高まりましたが、調査の質の確保が課題となりました。
また、従来の調査対象は主に「建築物」でしたが、電柱、トンネル、橋梁など、建築物以外の「工作物」にもアスベストが使用されているケースがあるため、これらへの対応強化のニーズが高まっていました。
こうした背景から行われた専門資格化は、調査対象の特性に応じた専門知識と技能を持つ調査者を育成することで、アスベストの見落としを防ぎ、より正確な調査結果に基づいて適切な対策を講じることを目的としています。具体的には、「建築物」「工作物」「船舶」という3つのカテゴリーに調査資格が分かれました。
2026年1月1日以降の「工作物」アスベスト調査の新義務
そして、2026年1月1日以降は、一部の工作物(プラント等の配管、電気設備、ボイラー等)の石綿事前調査において、「工作物石綿事前調査者」の資格取得が必須になります。これは、従来の「建築物石綿含有調査者」の資格では調査ができない範囲が生じることを意味します。
この改正により、2026年1月1日以降は立入検査や行政指導がさらに増加していくことが予想されます。対象となる工事を行う方は、「工作物石綿事前調査者講習」を受講し、資格取得を強くお勧めします。
あなたの調査対象はどっち?「建築物」と「工作物」で必須となる資格

法改正後、アスベスト調査を行う者は、その対象が「建築物」か「工作物」かによって、それぞれ異なる専門資格を有している必要があります。
ケース1:「建築物」の調査には「建築物石綿含有建材調査者」が必須
「建築物」のアスベスト調査を行うには、「建築物石綿含有建材調査者」の資格を持つ者による調査が義務付けられています。
対象となる「建築物」の定義
「建築物」とは、土地に定着している工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するものを指します。一般的に私たちが「建物」と認識しているものがこれに該当します。
具体例
一般的な住宅、マンション、オフィスビル、店舗、工場、学校、病院、公共施設、倉庫などが「建築物」に該当します。
調査範囲
建築物の内装材、外装材、屋根材、構造材、設備(配管保温材など)といった、アスベスト含有建材が使用されている可能性のある全ての部分が調査対象となります。
ケース2:「工作物」の調査には「工作物石綿事前調査者」が必須
「工作物」のアスベスト調査を行うには、新たに設けられた「工作物石綿事前調査者」の資格を持つ者による調査が義務付けられています。
対象となる「工作物」の定義
「工作物」とは、土地に定着する人工物のうち、建築物を除くすべてのものを指します。
具体例
電柱、信号機、鳥居、トンネル、橋、擁壁、屋外階段、広告塔、高架水槽、煙突、門、塀、地下道など。これらの構造物の解体や改修工事を行う際には、この資格を持つ者による事前調査が必要です。
調査範囲
各工作物の種類や構造に応じたアスベスト含有建材が使用されている可能性のある部分が調査対象となります。例えば、橋梁の塗膜や電柱の支線、トンネルの吹付け材などが挙げられます。
要注意!「船舶」の調査には「船舶石綿調査者」が対応

陸上の建築物や工作物とは別に、船舶におけるアスベスト調査には「船舶石綿調査者」という専門資格を持つ者が対応します。これは2023年10月1日以降に専門化された資格制度の一部です。
船舶は、その構造や環境が陸上とは大きく異なり、複雑な配管や特殊な劣化状況があるため、船舶に特化した専門知識が不可欠です。
「船舶石綿調査者」は、船舶特有のアスベスト使用部位(機関室、船室内装など)や、国際条約を含む法規制に精通しており、アスベストの見落としを防ぎます。船舶の解体・修繕・売買の際には、この専門資格者による調査が必須です。
資格者がいないとどうなる?法改正後のリスク

法改正により、適切な資格者が調査を行わない場合のリスクはさらに高まっています。
リスク1:法令違反と罰則
アスベスト調査において、定められた資格を持たない者が調査を行うと、明確な調査義務違反となります。この法令違反が発覚した場合、企業は以下のような具体的なペナルティに直面します。
行政指導により工事の中断を命じられ、工期遅延や無駄なコストが発生します。違反内容によっては、最大30万円の罰金、さらに重大な場合は懲役刑や高額な罰金が科せられることもあります。また、企業名が公表されれば、社会的信用が著しく損なわれ、指名停止処分を受けるなど、事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
リスク2:調査の質低下と健康被害
専門知識がない者がアスベスト調査を行うと、アスベスト含有建材の見落としリスクが高まります。見落とされたアスベストが工事中に飛散すれば、作業員や周辺住民が中皮腫・肺がん等の重篤な健康被害に遭う恐れがあり、その影響は長期にわたります。
結果として企業は、被害者への補償や訴訟費用など、民事上の高額な損害賠償責任を負い、社会的信用も失墜します。これは企業の存続に関わるほどの経済的負担と危機を意味します。
法改正後のアスベスト調査はどう対策すべき?

自社に適切な資格者がいない場合でも、法令遵守と安全を確保するためには、以下の対策が不可欠です。
対応1:適切な資格を持つ専門業者への依頼
アスベスト調査は、法改正により「建築物」または「工作物」に応じた「建築物石綿含有建材調査者」または「工作物石綿事前調査者」などの専門資格が必須です。資格を持たない者の調査は調査義務違反となり、工事停止命令や罰則に繋がります。
そのため、自社に資格者がいない場合には、必ず対象に応じた専門資格を持つ業者に調査を依頼することが必須です。専門家は正確な知識で法令遵守を確実にするため、見落としや誤った判断のリスクを最小限に抑えます。
対応2:調査の品質と実績を確認
アスベスト調査の依頼先選定では、単に資格者の有無だけでなく、その調査の品質と実績を確認することが極めて重要です。豊富な調査実績を持つ業者を選びましょう。
高い分析精度や、法令に則った信頼できる報告書作成能力、さらに高いリピート率も確認ポイントです。これらを総合的に評価し、真に信頼できる業者を選ぶことが、調査の成功と工事の安全に繋がります。
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2026年1月1日以降、一部の工作物アスベスト調査には「工作物石綿事前調査者」の資格が必須となります。これは、従来の資格では調査できない範囲が生じる重要な法改正です。
2026年1月1日以降は、立入検査や行政指導の増加が予想され、無資格調査のリスクは高まります。オルビー環境は、アスベスト分析の専門家として、この新義務への対応を全力でサポートします。
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