知っておきたい!アスベスト分析の種類の違いとは?
アスベストは人体に重大な健康リスクをもたらす有害物質として知られており、建築物の解体工事や改修工事ではその使用有無を確認することが法律で義務付けられています。
その際に重要なのが、アスベストの分析です。分析方法には大きく分けて「定性分析」と「定量分析」の2種類がありますが、それぞれの違いや使い分けについて正しく理解できていない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回の記事では、定性分析と定量分析の違い、それぞれの特徴、そして最適な選び方についてわかりやすく解説します。
アスベスト分析が重要な理由
アスベストの使用された建材は、経年劣化や工事中の飛散によって微細な繊維が空気中に拡散し、これを吸い込むと深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。肺がんや悪性中皮腫などの疾患はその代表例であり、特にアスベスト曝露後数十年の潜伏期間を経て発症することが知られています。
こうしたリスクを回避するために、解体や改修工事の前にアスベストの事前調査が義務化されています。この調査でアスベストの使用が疑われる場合には、さらに分析を行うことで適切な対策を講じる必要があります。
アスベストの定量分析と定性分析の違いとは?
アスベストの分析には「定性分析」と「定量分析」の2種類があります。それぞれ目的や方法が異なるため、使用する場面によって必要な分析方法を採用しましょう。
アスベスト定量分析
定性分析は、建材にアスベストが含まれているかどうかを確認するための方法です。主に「偏光顕微鏡法」や「X線回折法」が使用され、アスベストの有無を迅速に判定します。この分析は、解体や改修工事前の事前調査でよく利用されます。
●目的:アスベストの有無を確認する。
●特徴:低コストで短期間(数日~1週間)で結果が得られる。
●適用場面:初期調査や工事計画の基礎情報収集。
定性分析は、アスベストの有無だけを確認する場合に適しており、建材に含まれる濃度を調べる際には不向きです。
アスベスト定性分析
定量分析は、建材に含まれるアスベストの濃度を測定する方法です。「X線回折法」や「位相差分散顕微鏡法」を使用し、アスベストの含有量を正確に数値化します。
●目的:アスベストの濃度を測定し、適切な除去計画や法令対応を行う。
●特徴:高精度である反面、費用が高く、分析に時間がかかる(1~2週間)。
●適用場面:規制値(0.1重量%)の確認や、除去工事計画の詳細設計。
定量分析は、アスベストが存在すると判明した後、その濃度を詳しく調べる必要がある場合に用いられます。
アスベストの定量分析と定性分析のどっちを選ぶべき?
事前調査では、まず定性分析でアスベストの有無を確認し、必要に応じて定量分析を追加するのが一般的です。
定性分析は短期間で低コスト、定量分析は精密な結果が得られるため、目的に応じて使い分けましょう。
定性分析と定量分析の違いを徹底比較
改めて、定性分析と定量分析の主な違いをまとめると、以下の表の通りになります。
分析方法 | 目的 | 費用相場 | 分析時間相場 | 適用場面 |
定性分析 | アスベストの有無を確認 | 20,000~30,000円 | 数日~1週間 | 初期調査、事前調査 |
定量分析 | アスベストの濃度を測定 | 50,000円以上 | 1~2週間 | 除去計画、規制確認 |
アスベスト分析の最適な選び方
一般的には2つのポイントで、アスベストの定性分析と定量分析が使い分けられています。
ポイント1:事前調査には定性分析が最適
解体や改修工事の前に行う事前調査では、建材中のアスベストの有無を確認するだけで十分なことがほとんどです。まずは費用と時間の負担が少ない定性分析を選ぶのが一般的です。
ポイント2:必要に応じて定量分析を追加
定性分析の結果、アスベストが含まれていることが判明した場合には、濃度を測定するために定量分析を行います。除去工事の計画や費用の見積もりがより正確になります。
アスベスト分析業者を選ぶ基準
アスベストに関するトラブルに巻き込まれないためには、信頼性の高いアスベスト分析業者を選ぶことが重要です。ここでは2つの選定基準をご紹介します。
基準1:有資格者が在籍しているかを確認
2023年10月1日以降、アスベストの分析は有資格者による実施が法律で義務付けられています。依頼先が「石綿分析技術評価事業」の認定者や「一般建築物石綿含有建材調査者」などの資格保有者を配置しているかを必ず確認しましょう。
資格を持つ専門家が在籍している機関であれば、最新の技術と法規に基づいた正確な分析を期待できます。また、資格保有者の数が多い機関は、急な対応にも柔軟に応じられる体制が整っていることが多い点も魅力です。
基準2:納期と費用を事前に確認
アスベスト分析は、特に工事スケジュールが迫っている場合にはスピーディーな対応が求められます。そのため、最短3営業日など短期間で結果を提供できる分析機関を選ぶと安心です。事前に納期の目安を確認し、スケジュールに合わせた対応が可能かどうかを確かめましょう。
費用についても、事前に透明性のある見積もりを提示してくれる業者を選ぶことが重要です。見積もりに含まれる項目が明確で、追加料金が発生する場合も事前に説明がある機関なら、後から予想外の費用を請求される心配がありません。
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