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2024.12.02

ビルで保管している低濃度PCBを適正処理する方法とは?屋上にあるキュービクルを安全に搬出するステップも解説

ビルの隠れた場所に低濃度PCBが放置されているかも?

ビル管理会社やビルオーナーにとって、古い設備や機器の管理は重要な課題です。特に低濃度PCBを含む廃棄物がビル内に残されている場合、適切な管理と処理が求められます。

特に屋上に設置されているキュービクル(高圧受変電設備)内にPCB廃棄物が含まれている場合は、搬出作業が困難となり、専門的なステップを踏んで、安全に搬出・処理する必要があります。

そこで今回の記事では、特にビル管理会社が直面する課題に焦点を当て、低濃度PCBを安全かつ効率的に処理するための具体的なポイントや、屋上にあるキュービクルを安全に搬出するステップについて解説します。

ビルで低濃度PCBが発生する場所とは?

ビルで保管している低濃度PCBを適正処理する方法

ビル内には、PCBを含む可能性のある設備や機器が複数存在する可能性があります。特にビルは階層が多いため、PCB含有機器を見落とすリスクが高まります。ここで紹介する場所をもれなく確認し、安全に処理を進めましょう。

場所1:配電盤や変圧器

ビルの電力供給を担う主要設備で、PCBを含む絶縁油が使用されている可能性が高いです。特に古い設備では経年劣化による漏洩リスクもあるため、早急な点検と対応が必要です。

場所2:屋上のキュービクル(高圧受変電設備)

ビル屋上に設置されることが多いキュービクルは、低濃度PCBを含むトランスを使用している場合があります。屋上作業は安全性や効率を考慮した計画が不可欠で、専門知識が必要となります。

場所3:古い照明器具(安定器)

ビルのエントランスや廊下、駐車場などで使用されていた蛍光灯照明の安定器にもPCBが含まれている場合があります。

安定器は基本的に高濃度PCBが含まれますが、経年劣化や混合によって、元々高濃度PCBを含む機器や油が低濃度に変化したケースもあります。

場所4:倉庫やバックヤードに放置された機器

廃棄が後回しにされた古い機器にもPCBが含まれる可能性があります。倉庫やバックヤードに保管されている機器は、見落とされやすいため、徹底した調査が必要です。

ビル特有の低濃度PCBリスク3選

ビルで保管している低濃度PCBを適正処理する方法

PCB廃棄物のリスクはどの業界にもありますが、ビル特有のリスクもあります。ここでは代表的な3つのリスクをご紹介します。

リスク1:屋上設備の搬出リスク

屋上に設置されたキュービクルやトランスは搬出が難しく、特別な対応が求められます。高所作業では安全対策が必須であり、クレーンの使用や道路封鎖の許可申請が必要となる場合もあります。

リスク2:漏洩や劣化の放置

劣化した設備や機器からPCBが漏洩すると、建物内外に深刻な環境汚染を引き起こす可能性があります。特に、防水処理された屋上では、床面の損傷を防ぐ養生対策も欠かせません。

リスク3:法令違反によるペナルティ

PCB廃棄物を適切に処理しない場合、法令違反として行政指導や罰則を受けるリスクがあります。また、処理期限を過ぎると追加費用が発生する可能性があり、ビル管理会社にとって大きな負担となります。

ビルの低濃度PCBを安心して処理するための3つのポイント

低濃度PCBを適正処理する方法

ビルでPCB廃棄物を保管している方は、以下の3つのポイントに沿って、安全に適正処理を済ませましょう。

ポイント1:PCB含有機器をリストアップ

まずは、配電盤、キュービクル、冷却装置、古い照明器具など、PCBを含む可能性がある機器を全て調査し、リスト化します。専門業者に分析を依頼することで、PCB含有の有無を正確に把握できます。

ポイント2:屋上設備の安全な搬出計画

屋上のキュービクルやトランスを搬出する際は、道路使用許可の取得やクレーン手配など、事前準備が重要です。また、防水処理された床面を保護する養生対策を徹底し、作業中の事故や設備損傷を防ぎます。

ポイント3:ワンストップで依頼できる業者を選定(搬出、収集運搬、処理)

処理業者を選定する際は、許可証の有無や実績を確認します。また、ワンストップで調査から搬出・処理まで対応できる業者を選ぶことで、スムーズな作業が可能となります。

屋上キュービクルを安全に搬出するための5ステップ

ビルで保管している低濃度PCBを適正処理する方法

ビルにおけるPCB処理で最も注意すべき作業は、屋上に設置されている大型キュービクルの重量搬出を伴う処理作業です。ここでは、屋上にあるキュービクルを安全に搬出し、処理を完了するまでの5つのステップを解説します。

ステップ1:現地調査と準備

搬出作業を安全に進めるため、キュービクルやトランスの状態確認を行います。劣化や腐食の有無を調査し、漏洩対策を講じます。電気が流れていないことを確認するために、搬出作業をする数日前から電気を止めておき、当日に検電作業も必要です。

搬出作業で道路を封鎖する場合には、事前に道路使用許可を取得し、作業車両や誘導員の配置計画を整えます。周辺住民やテナントへの通知も含め、準備を万全にします。

ステップ2:屋上床面の養生

搬出作業中に屋上床面を損傷しないよう、養生材を設置します。特に防水処理が施された床面は傷がつきやすいため、耐圧性のあるシートや保護材を敷いて保護します。

機器を移動させる際の動線を確保し、養生範囲を適切に設定することで、安全で効率的な作業環境を整えます。

ステップ3:クレーンによる搬出

屋上から地上へ搬出するために、ラフタークレーンを使用し、搬出対象の機器は専用の吊り具でしっかり固定し、慎重にクレーン操作を進めます。

高所作業ではオペレーターの技術が重要で、安全確認を徹底しながら搬出を行い、トランスなどの重量物を安定した状態で地上に降ろします。

ステップ4:車両への積み込みと運搬

搬出後のキュービクルやトランスは、PCB廃棄物専用の運搬車両に積み込みます。漏洩防止のため、防護材を用いて機器をしっかり固定します。

PCB作業従事者が立ち会い、安全基準を遵守しながら作業を進め、事前に計画した輸送ルートに従い、処分場へ安全に移送します。

ステップ5:処分場での受け入れと完了報告

処分場に到着後、PCB廃棄物の受け入れ手続きを行い、漏洩やトラブルがなかったか確認し、安全に処理が完了したことを証明します。

搬出・運搬作業の詳細を報告書にまとめ、ビルオーナーや管理会社に提供します。これにより、依頼主に安心感を与えると同時に作業記録を残します。

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