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2024.10.28

年式で判断可能?石膏ボードのアスベスト含有を見分ける方法

石膏ボードにもアスベストが使われていました

建材として広く使われている石膏ボードは、壁や天井などの内装材として非常に普及しています。しかし、かつての建築資材にはアスベストが含まれている可能性があり、石膏ボードもその例外ではありません。

アスベストの健康リスクが知られるようになる前の時代には、アスベストの耐久性や耐火性が高く評価され、多くの建材に使用されていました。

今回の記事では、石膏ボードにアスベストが含まれているかどうかを判断するための方法について解説します。

石膏ボードとは?

アスベスト含有の石膏ボード

石膏ボードは、石膏を主原料とした建築材料で、一般的に内部仕上げ材として壁や天井に使用されます。

その加工しやすさや防火性、遮音性、断熱性などの特徴から、多くの建築物で採用されています。しかし、古い石膏ボードにはアスベストが含まれていることがあり、その場合、解体時やリフォーム時に注意が必要です。

石膏ボードにアスベストが使われた製造時期

アスベスト分析

アスベストが石膏ボードに使用された時期は、一般的に1970年代から1980年代の初め頃までです。

1980年代中盤以降にはアスベストの有害性が認識され、法律によって製造や使用が規制されました。日本では、1987年に石膏ボードの製造においてアスベストが全面的に禁止されました。

このため、1987年以前の建築物等には、アスベストを含有する製品が使われている可能性があります。

アスベストは全ての石膏ボードに使われたの?

アスベスト含有の石膏ボード

ただ、すべての石膏ボード製品にアスベストを使用していたわけではありません。

1970年から1986年に製造された一部の特殊な石膏ボード製品(不燃積層石膏板など)にアスベストが使用されていましたが、全体の約1%未満と推定されています。これらの製品は一般住宅にはほとんど使われていません。

一般社団法人 石膏ボード工業会で公表されているアスベスト含有の石膏ボードの種類は以下の通りです。

No製 品防火材料認定番号
9㎜厚 準不燃石膏吸音ボード第 2006 号、第 2019 号
9㎜厚 化粧石膏吸音ボード第 2014 号、第 2010 号
7㎜厚 アスベスト石膏積層板第 1012 号
9㎜厚 アスベスト石膏積層板第 1013 号
9㎜厚 グラスウール石膏積層板第 1014 号
9㎜厚 不燃石膏積層板第 1004 号
7㎜厚 準不燃アスベスト石膏積層板第 2008 号
※115㎜厚 ガラス繊維網入り石膏ボード
※212㎜厚 化粧石膏板(個別認定)(個)第 1425 号
※情報参照元:石膏ボード製品におけるアスベストの含有について(2022年7月26日:一般社団法人 石膏ボード工業会)https://www.gypsumboard-a.or.jp/pdf/asbestos.pdf

第 2014 号、第 2019 号及び第 1004 号につきましてはアスベスト使用停止後も同じ防火材料認定番号だった期間がありますので製造時期の特定が必要です。

石膏ボードのアスベスト含有の見分け方

アスベスト分析

石膏ボードにアスベストが含まれているかどうかを判断する方法はいくつかあります。ここでは、その代表的な方法をご紹介します。

見分け方1:石膏ボードの製造番号

石膏ボードの製造番号には、製造年月日や製造元に関する情報が含まれていることがあります。この情報を元に製造年を確認し、アスベストが使われた年代に該当するかを判断できます。

製造番号が確認できる場合は、メーカーに問い合わせて該当の製品がアスベストを含むかどうかを確認することも有効です。

ここではアスベストが使用されたメーカーの石膏ボードの事例をご紹介します。

先ほどご紹介した図の中にある石膏ボード製品№1〜7は、厚さや裏面の防火材料認定番号、設計図書でアスベスト含有の可能性を判別できます。

■:吉野石膏の製品(1977〜1986年)

「吉野耐火ウォールA/B」は厚さ15mmで、コア部分に網が入っていますが、裏面にJISマークや防火材料認定番号がありません。

■:チヨダウーテの製品(1977~1981年)

「エースボードR(エースウォール)」は厚さ12mmで、表面に化粧柄印刷があり、裏面には「千代田建材工業株式会社」と四角で囲まれた防火材料認定番号が表示されています。

※情報参照元:石膏ボード製品におけるアスベストの含有について(2022年7月26日:一般社団法人 石膏ボード工業会)https://www.gypsumboard-a.or.jp/pdf/asbestos.pdf

見分け方2:石膏ボードの種類

石膏ボードには、通常の一般石膏ボードと、耐火性を強化したタイプのボードがあります。後者は、特にアスベストが含有されていた可能性が高いため、使用されているボードの種類を確認することでアスベスト含有の有無を判断できます。

特に「1970年代から1980年代の初め頃に建設された建築物」かつ「その建設物で使われている石膏ボードの厚さが7〜15mmと分厚い場合」はアスベスト含有を疑いましょう。

見分け方3:石膏ボードを分析

石膏ボードのアスベスト含有を調べる最も確実な方法は、石膏ボードのサンプルを採取して専門の分析機関でアスベスト含有検査を行うことです。

今回解説した方法を実施することで、分析以外の方法でも石膏ボードのアスベスト含有を調べられる可能性はあります。ただし、建築物の改修や解体を行う際には、アスベストが使われていないという確実な情報が必要です。

多くの場合は、専門の分析機関への調査依頼が必要となります。

アスベスト含有石膏ボードの正しい処理方法

アスベスト 保護具

アスベスト含有の石膏ボードは、「アスベスト レベル3」の廃棄物に分類されますが、アスベスト除去時は飛散リスクを低減する工法が重要です。

除去した石膏ボードが他の廃棄物と混ざらないように分別をします。また、発じん性が低いとされるレベル3建材であっても、切断や破砕でアスベストが飛散するため、原形のまま取り外すことが推奨されています。

実際に解体作業を行う際には、粉じん防止のために養生し、高性能真空掃除機での吸引を行います。作業計画では、建材の種類や劣化状況を考慮し、適切な飛散防止策を含めることが必要です。

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