PCB廃棄物は、早急に処理を完了させるために、処理期限が設けられています。この事実を知り、急いで保有しているPCB廃棄物を処理するための準備を始めた方も多いのではないでしょうか?
保有しているPCB廃棄物を適正に処理するためにも、PCB廃棄物の全体像を把握する必要がありますが、その種類や処理方法は何種類もあります。
そこで今回は、PCB廃棄物の事例と10種類の処理方法についてわかりやすく解説します。
PCB廃棄物とは?
PCB(ポリ塩化ビフェニル)とは、人工的に作られた油状の化学物質です。絶縁性、不燃性に優れていることから、電気機器の絶縁油や熱交換器の熱媒体などの様々な用途で使われてきました。
しかし、PCBは人体に有毒であることが発覚し、昭和47年には製造や新たな使用が禁止されました。
このPCBにより汚染された廃棄物を「PCB廃棄物」と言い、特別管理産業廃棄物の1つとして適正かつ早期の処理完了が求められています。
PCB廃棄物の事例3選
PCBの有毒性が明らかになる前は、工業的に有用であることから、様々な製品に使用されていました。そのため、PCB廃棄物の種類は多く存在します。
ここでは、特に排出数が多い3種類について解説します。
事例1:安定器
安定器は、工業用照明器具の力率改善用の電子機器です。1957年から1972年に製造されたものがPCB廃棄物に該当する可能性があります。
事例2:高圧コンデンサ
高圧コンデンサは、一時的に電気を蓄えたり、放出したりする電子機器です。この高圧コンデンサの絶縁油にPCBが使われていたことで、PCB廃棄物に該当するものが発生しています。
事例3:高圧トランス
高圧トランスは変圧器の一種で、工場や病院などの大規模な施設に送電される電力の電圧を必要に応じて、昇圧・降圧する電子機器です。高圧トランスの絶縁油にPCBが使われたことでPCB廃棄物になっているものがあります。
高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の違い
PCB廃棄物は、大きく「高濃度PCB廃棄物」と「低濃度PCB廃棄物」の2種類に分類されます。
高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物とでは、その扱いも処理方法も大きく異なるので、違いを正確に把握する必要があります。
種類1:高濃度PCB廃棄物
高濃度PCB廃棄物は、意図的にPCBを使って製造された電子機器です。PCB濃度は5,000mg/kgを超えます。
種類2:低濃度PCB廃棄物
低濃度PCB廃棄物は、意図せずPCBに汚染した電子機器です。低濃度PCB廃棄物のPCB濃度は、0.5超〜5,000mg/kgです。さらに、濃度が低いものを「微量PCB廃棄物」と呼び、そのPCB濃度は、数10mg/kg程度です。
PCB廃棄物の処理方法は主に10種類
このような背景と特徴を持つPCB廃棄物ですが、その特徴と有毒性の高さから、一般的な産業廃棄物とは異なる方法で処理する必要があります。
PCB廃棄物を処理する方法は主に10種類あります。
処理方法1:脱塩素化分解
薬剤等と十分に混合し、脱塩素化反応を起こして、PCBを分解する処理方法。
処理方法2:水熱酸化分解
高温高圧の水中でPCBを分解する処理方法。
処理方法3:還元熱化学分解
酸素供給が遮断された還元環境の高温下でPCBを分解する処理方法。
処理方法4:光分解
紫外線を照射して、光化学反応でPCBを分解する処理方法。
処理方法5:プラズマ分解
プラズマによる高温下でPCBを分解する処理方法。
処理方法6:高温焼却
微細な液滴としたPCBを1,100度以上の高温な炉に噴霧し、焼却する処理方法。
処理方法7:機械化学分解
メカノケミカル反応の原理を活用し、機械的エネルギーを付与する粉砕操作でPCBを分解する処理方法。
処理方法8:溶融分解
数千度以上の高温で溶解分解する処理方法
処理方法9:洗浄
PCB汚染したトランスやコンデンサなどを溶剤などでPCBを洗浄抽出する処理方法。
処理方法10:分離
真空に近い条件下で物質を加熱してPCBを蒸発させる処理方法。
PCB廃棄物の処理の現状とは?
PCB廃棄物を早急かつ確実に処理するために、濃度別に処理期限が設けられています。
PCB廃棄物の処理期限は以下の通りで、高濃度PCB廃棄物に関しては、2023年9月現在ですでに処理期限を迎えています。万が一、高濃度PCB廃棄物を発見した方は、早急にオルビー環境にご相談ください。
⚫️高濃度PCB廃棄物の処理期限
■ 変圧器・コンデンサー等:令和4年(2022年)3月31日【終了】
■ 安定器及び汚染物等:令和5年(2023年)3月31日【終了】
⚫️低濃度PCB廃棄物の処理期限
■ 令和9年(2027年)3月31日
PCB廃棄物を放置しておくことで、トランスやコンデンサからPCB油が漏れ出して、汚染箇所が広がったり、PCB廃棄物の処理コストが高騰する恐れもあります。
PCB廃棄物を保有している方は、早急に処理を進めましょう。
PCB処理ならオルビー環境にお任せ!関西全土OK(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)
PCB含有の疑いがあるトランスやコンデンサー、安定器が社内から見つかったけど、どうしたらいいかわからない、早急に適正処理したい、と考えている方は、オルビー環境にお任せください。
オルビー環境では、PCB廃棄物やアスベストなどの処理困難物をより安くより安全に処理するサポートを行っています。
関西全土はもちろんのこと、日本全国で対応可能です。
産業廃棄物のことでお困りの方は、ぜひオルビー環境にお問い合わせください。